第15話

ー約一ヶ月くらい前ー


ゴンゴンゴンッ


「おーい!ノアーーーッ!今日も一緒に遊ぶぞー!!」


ドアノッカーを鳴らし大声で叫んでいるのは、男勝りな黒髪ショートヘアーの笑顔が似合う女の子、閻魔だ。角も2本付いている。赤い浴衣を着ているのだが動きやすくする為なのか、足の裾を上げている。


そして、草履だ。


「………………」


少し待っていると、


ギィィィィッ…

っと、ドアが開いた。


中から出てきたのは、

 

「これはこれは閻魔様」


側近のミヅキだ。


「まことに申し訳ないのですが…只今、サタン様は…」


「隙あり!」


「あっ!閻魔様、ご勝手には困ります…!」


小柄な閻魔は開いてあるドアの隙間から、まんまと簡単に中に侵入するのだった。


「おーい!ノアーーーッ!何処に居るのじゃー?相変わらず暗いのぉ…ここは」


薄暗い城の中を歩きながら叫ぶ閻魔。

すると、


「えんちゃん…。どうしてここに?」


これまた薄暗闇の階段奥から出てきたのは気弱なサタンだった。


「おー!ノア!今日も遊ぶぞッ!」


“ノア”というのはサタンの本当の名前。

白髪のショートヘアーの、これまた可愛い女の子。黒いワイシャツに黒いネクタイ、黒い半ズボンに、黒い靴下と靴。


階段を登りながら話す閻魔は、満面の笑みだ。


「それに…、」


閻魔は登りきった後、ノアを横に、肩に腕を乗せ、


「儂の事は『河南かなん』と呼べといつもうてるじゃろ?」


「うん…ごめんね…。でも河南…ボク、今日はちょっとそういい気分じゃ…」


「気分とかそんなん関係ないわぁッ!遊んでしまえばやっぱ楽しいとなるじゃろ?」


「そ…そうかなぁ…?」


「そうじゃ!そうじゃ!」


閻魔は気弱なサタンの左手を取り、


「ほれ!分かったら行くぞ!!今日は行きたいとこがあるのじゃ!!」


先陣を切って階段を降りた。


「"ロン”はもう"そこ”で待っておる。急ぐぞ!!」


「う、うん…」


***************************


上から順に、


神様達が住む、神町かみまち

天使達が住む、天使町てんしちょう

現世

鬼達が住む、閻魔町えんまちょう

悪魔達が住む、地獄町じごくちょう


の、構造になっている。


ちなみに、天使町は一日中、朝で、神町は一日中、夜である。


で、鬼の河南かなんは閻魔町に住んでいて、悪魔のノアは地獄町に住んでいる。


この"閻魔町”と"地獄町”は、上と下の位置にあるので簡単に行き来ができる。


所謂、二人はご近所さんみたいなものなのだ。


***************************


「おーい!ローーンッ!!待たせたのぉ」


遠くから手を振り、走りながら叫ぶ鬼の河南かなん。その後ろには悪魔のノアがいた。


「あっ、かなーーんッ!ノアーーッ!こっち、こっち!!」


そう叫んでいるのは、天使町てんしちょうに住んでいる、天使長てんしちょうのいつも明るい女の子、“ロン”である。


その子は、金髪のツインテールで長さは腰あたり。赤いワイシャツに黒い蝶ネクタイと膝丈の白いキュロットスカート。


に、赤いハーフブーツ。


三人は年も身長も同じくらいで、そして、



        ーメチャメチャ仲良し。ー



いつも三人は一緒に遊んでいた。



       ーこの日、行くところまでは。ー



辿り着いたある扉の前。


「ねぇ…これって…もしかして…」


ノアがそう言うと、


「そうじゃ!現世に行ける魔法の扉じゃ!」


河南が答えた。


その扉は両開きで、何故か扉自体は…キラキラ光っている。

女の子が好きそうな感じだ。


「行くのはいいけど、ちゃんと『許可』を取ったんだよね…?」


現世に行くには、神様の『許可』がないと行けない事になっている。


ノアの質問に河南は、


「どうせちょっと覗くだけだから許可は取っておらん。そんなんいちいち面倒じゃ」


「え…でも…許可がないと行けないし…そもそも鍵も無いと…」



         ー「えっへんッ!」ー



ここでロンが、わざとらしく二人に鍵をチラ見せしてすまし顔で、


「偶然にも鍵がここに…」


言った。


「きょ…許可もないのに…どうしてその鍵…」


「もうグダグダと五月蝿いのぉ…お主は」



          ーカチャッー



鍵が開き、ロンが、


「ほら、もう行くよ」


扉を開けた。


「えっ…でもぉ…」


「もう臆病だなぁ…ノアは…。ほら」


ロンがノアの左手を取った。


「臆病とかそんなんじゃなくて…」


「はいはいっ、行くぞ!」


河南がノアの右手を取って、三人仲良く、



      ー扉の向こうへ、消えていったー




































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