第14話

「これはいつかのパーティーでの出来事なんですが…」


と、さっそく些々波が説明を始める。


***************************


 「その日は、先程までいた部屋で、皆んなでパーティーを開いていて、」


この言い方だと、


「ん…?皆んな仲良しなの?」


僕は最初の出来事を思い出した。


この部屋で一番最初に、悪魔と鬼達が居合わせた時は、敵意丸出しだった。だけど、


「至って普通だ」


些々波がそう答えた。

僕は周りを見渡した。


「普通…か…。」


「それでだ。神様主催のそのパーティーにはいつも私達、鬼と悪魔と“使"が参加しているんだが…」


「しているんだが…」


僕は些々波の言葉を復唱した。


「何と神様は、一回だけパーティーに天使を呼び忘れてしまった事があったのだ。」


「ん?で?」


「だからだな、凪…、」


そこで、僕の後ろであぐらをかいている暁が、


「神がそのパーティーの呼び掛けをいつも放送するのじゃが、あの気まぐれ神…その時に限って…」


***************************


ーパーティー前々日くらい前、


「じゃ明後日くらいに面倒くさいけどパーティーでもやろうか…。ていうかやる意味ある?これ…」


「お兄様?伊波はパーティー、大好きですよ」


「じゃ、俺も好きだ。」


「それではいつもの“放送"を。」


「あ…あぁ。」


「どうされましたか?」


「何か今日は“手紙"な気分だから、手紙にしよ…」


*************


「よし出来た…じゃ、ジジイ、これポストに入れて来て」


「かしこまりました。それとわたくしでございます。いい加減、名前を覚えて…」


「はいはい、いってらっしゃーい」


「このクソガキが…」


「って…あれ…何か足んないような気がするけど…」



        ー「まっ、いっか」ー



そして3日後ー


「あれ?天使だけ来てないですね…」



***************************



「そういうことじゃ」


「えっ…結局理由が全然分かんないんだけど。ただ…、今の話の結論はその“天使"にだけ手紙が来なかった…って事?」


僕が疑問を投げつけると、暁は、


「そうじゃな」


「え…だからさっきの“天使"は…」


「“ただの嫌がらせ"に来た。それが理由じゃろう。うん」


暁が自分で言って、自分だけ納得したように首を縦に振った。


          ーいや…ー


いやいやいやいやいや。


僕は暁を横目に、「何言ってんだコイツ」と目で訴えた。だが本人はまだ首を振っているので恐らく、僕の訴えには気付いていない。


だけど、


“ただの嫌がらせ"で"兄さんの命"が狙われてるとかあまりにも理不尽すぎる…。


そして、僕は兄さんの顔を見て、目を合わせる。



    ー兄さんを殺していいのは、僕だけだ。ー



「ねぇ、」


その言葉に何人かが向いた。僕もだ。


ここでまた、白髪赤メッシュの男が腕を組み、こっちを見て、


「そんな単純な理由で誤魔化す程、この子達は子供じゃないと思うんだけど」


何だか、意味深な事を言ってきた。

これは、ただならぬ理由があったに違いない。



     ー命を狙われる程の本当の理由…。ー



この状況下にあるんだ…僕達にも知る権利はあるはずだ。


「その本当の理…」

「分かってますよ、そんな事」


僕の言葉を掻き消すように話す些々波。


「大体…」


そう言って、遠くを見ては、



      ー「今のは楽しい思い出話だ」ー



と、語るのであった。



           ー???ー



こっちは、いつ殺されるか分からない状況だというのに…


「こんな冗談…」

「は、さておき…」

         

いちいち些々波と言葉が被る事に僕は苛立ちを覚える。

それを察してなのか僕と些々波は度々、目が合う。


そしてその度に、睨み合うのだった。


「じゃ、儂が説…」

「これは約一ヶ月前の話だ」


今度は、暁が話すのと同時。

ここまでこうだと遮るのがうますぎだと思うね。

でも、暁の説明だと色々脱線しそうだから、これはこれで良かったかもしれない。



















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