第13話
ー「アルメリア」ー
「は?」
些々波が聞いた時がない単語を言ってきたので、僕は反応した。
「”アルメリア“…。小さな花が丸く集まって咲いている、赤・ピンク・白と可愛い花。それを閻魔城にある閻魔様の部屋に飾ってあるのだ。」
「へぇ~、それで?」
いきなり花の話をする些々波に少し呆れた感じで僕は反応した。
「その花は閻魔様にピッタリだと思い私がプレゼントしたのだ。」
「で?」
「花言葉は『同情』。」
「で?」
「足が臭い閻魔様に同情しているのだ」
「お前やっぱ酷いな」
「お前って言うな」
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僕達が変な会話をしているうちに、周りの人達がやっと、起きた。
そして、
この数分の間に起きた出来事を、暁が説明してくれた。自分が馬鹿にされた事も。
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「そんな事が……。“天使”がこの人間の命を狙っているのならば…もう…」
ここで、初めて見た、いや…、
ここに戻る前にも居た、白髪の赤メッシュの糸目、多分…悪魔よりの人が口を開いた。そいつはドア近くの壁に寄りかかっていた。
さっきから、“天使”とは何なんだ。
「あぁ…、おそらくこの二人の中に“閻魔”と“サタン”の“魂”が入っている事に気づいている」
窓近くに寄りかかって腕組みをしながらギルバートがそう話す。
あの“天使”に気づかれたら何かまずいことでもあるのだろうか…。
そこで、
「あ、あの〜…、僕これから仕事に行かないと行けないのでその…、皆さん帰ってもらってもいいですか…?」
僕と隣どうしでベッドに座っている兄さんが、眼鏡をクイッと上げながら申し訳なさそうに言った。
こんな時にまで仕事に行こうとする兄さん…。
(素敵だ…)
僕は兄さんの左腕を組んだ。
すると、
「イテテッ…」
兄さんが痛がった。
「ごめん、兄さん。痛かった?」
僕はそんなに強くしたつもりはないが兄さんは、
「うん…ちょっとね…。…でも…凪に見て欲しいんだけど…」
そう言って、着ていたシャツのボタンを上から外し始める兄さん。
しかし、兄さんが見せようとしている場所には、何があるかは僕は知っている。
「これなんだけど…」
何個かボタンを外すと、“その部分”を見せてきた。
だが僕は、見なくたってわかる。何故なら、それは僕が刺した刺傷…
ー「こんな“火傷痕”…いつ出来たんだろ…」ー
火傷痕…!?
見ると、僕が刺した刺傷の上から赤黒い火傷痕…。
生きているのが不思議だと思っていたがこういう事だったのか。
「全然、記憶が無いんだよね…。ねぇ凪は知ってる?」
本人は記憶が無いらしい。
だったら僕が教えよう。
「兄さんそれは…」
ーヴッヴッンンンッッッー
その時、わざとらしい咳払いが僕の言葉を掻き消した。
そいつはここに戻る前、兄さんに向かって「サタン様ァァァ」って一生懸命に叫んでた奴。今も座っている兄さんの脇で立っている。何だか兄さんを見張ってる感じに。
「あの、“サタン様”…。“女性”がそう簡単に男の前で服を脱がないでくだ…」
「え?僕、男だけど」
「そうだ!兄さんは男だ!」
僕達は男を見上げ、“男宣言”をした。
「いえ、“サタン様”は“女性”です!」
「だから僕は“男”だよ…!」
どっちも少し強気で話す。
「いえだから、“サタン様”は女…」
「もう黙れ、お前等。ややこしい…!」
ギルバートが割って入り、
「いいか人間。お前の中には今、“サタンの魂”が入っている。そしてサタンは“女”だ。だからこの“変態野郎”は“女、女、女”って五月蝿い。分かったか?」
「うん、とりあえず」
兄さんは素直に返事をする。
そして変態野郎は反論する。
「ギルバート。私は決して、“変態野郎”じゃありません。サタン様の側近、ミ…」
「でもどうして僕の中にその“サタン様”の魂?が入ってるの…ですか?それに皆んな、変な格好してるし…」
兄さんは質問した。
そういえばそうだ。
僕達は何故“そうなった”のかを知りたい。
「あぁ、面倒くせぇからもう説明はパスだ」
ギルバートはパスした。
「じゃあここからは私が」
名乗り出たのはベッドのフッドボード側に立っていた些々波だった。
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