第3話 それぞれの事情……
僕が……亜美の手作り弁当を
口に入れて頬張っていると、
亜美はまた話を始めた。
聞くところによると……
亜美の両親は仲が非常に悪く
妹の看病は、母親任せで
つきっきりだそうだ。
父親は、会社勤めで……最初は
妹の事を面倒見ていたのだが。
ある日……母親が父親の
浮気シーンを街中で目撃したそう。
それがキッカケとなり
家族が崩壊していると……亜美
は最後まで、明るく話を
終えた。
『先生の名前は~~?何て~の?
教えて~?』
甘える亜美に、僕は素直に答えた。亜美の気の毒な環境や
お弁当が……うまかったからだ。
『シンジ。シンジって~言います!ははッ!!なんか
照れクセ~。』
亜美は、画廊の内部を見渡していた。その時に、自分が……
モデルになり描かれている事に
亜美は気がついた。
『あ!!これ?わたし?!』
『まぁね。あれから依頼が
来てね。1000円で喫茶店に
行ったらな!』
『……へぇ。』
亜美は少しだけ照れながらも
喜んでいた。僕が食事を終えて
空の弁当箱を水で……すすぎ
終えて、返そうとした時に……
亜美は、いきなり抱き付いてきた。
『??……どうした?』
亜美が泣いていた。
『もうやだ。辛いんだよ?
ホントは……わたし、わたしだって友達が……欲しいのに!!』
どうやら楽しい学校生活では
無いらしく、
友人であった仲間は、どんどん
亜美から離れていき。
今では、病院で面識のある男性
にストーカー行為を
されていると…………。
学校にも親にも、話せない。
と……亜美は泣きじゃくっていた。
ここの画廊に来たのも……
僕の絵が……気になったのもだが
ストーカーが後を追ってきた
からだと、
亜美は全てを吐き出すかの
様に、泣きながら話していた。
『そっかぁ。……大変だったな?亜美……。』
僕は、亜美のロングの髪を撫でて
『ストーカーの件は、俺に
任せとき??なっ?』
亜美は、僕の肩にもたれながら
小さく、うなずいていた。
亜美を説得して学校へ向かわせた。
ホントは……行きたくないんだな
……アイツ。
亜美が、画廊から学校へ出掛けた
後、僕はキャンバスを喫茶店へ
持って行こうと仕度を始めた。
ガタガタ、ガタンッ!!
『重てッ!!』
僕は、抱える様にキャンバスを
運び始めた。
喫茶店のマスターを呼び止め、
描き上げたばかりの
絵をチェックしてもらっていた。
『ん!!やっぱり、いいねぇ!
じゃあ10万円持ってくるよ!』
マスターは嬉しそうに裏手に
回った。
と……その時に
亜美に声が似た女性の叫び声が
僕の耳につんざく様に
入ってきたのだ。
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