第171話
「もう目、開けてもいい?」
「いいですよ、蒼様」
閉じた目を開けると、そこには「登録者数世界一位おめでとう」という文字と、沢山の料理そして盛大にクラッカーが鳴る。
「蒼様、おめでとうございます」
「「「「「「おめでとう」ございます」」」」
事を遡る事、今朝。
起きていつものようにエゴサーチをしてから、リビングに顔を出すと梨美と母さんがもう起きて何やら何処かへと行く準備を整えていた。
聞いてみると、「秘密。先に行ってるから着替えて少し待ってて」と意味深なことを言っていたので気になりつつも言われたとおりに着替えて待っていると、エリーが家まで迎えてきてくれた。
屋敷に入る前に目隠しをされたので、赤子のようにエリーに手を引かれて付いて行った先がこの場所ということだ。
少し前から恋人たちが僕に隠れてこそこそと何かをしようとしていたのは知っていたけれどまさかこんな風に祝ってくれるなんて思わなかった。とっても嬉しい。
「さぁ、早く主役は座ってください」
エリ―に手を引かれて席へと座り、みんなが席に着いたところで、僕に視線を向けられる。
僕が音頭を取れって事ね。
「えぇーっと、みんなありがとう。とっても嬉しい。僕はみんなが恋人で良かったなって心から思うよ。じゃあ、みんな乾杯」
「「「「「「かんぱーい」」」」」
エリ―が作ったのか分からないけれど、どの料理も美味しそうでどれから食べ始めようか迷ってしまう。
一口ローストビーフを食べてみると、物凄く美味しくて頬をが落ちてしまいそうな程だった
「それ、母さんも作ったんだよ」
「え、そうなの?凄く美味しいよ」
「蒼ちゃんのためにいつもの数倍も今日は張り切っちゃった」
「あ、お兄ちゃん、こっちも食べて」
「蒼、こっちも」
「蒼君、これ、私が作ったんだけれど」
みんながみんな自分が作ったものを僕に食べさせようとしてくるので落ち着かせてからみんなが作ってくれたのを食べる。
どれも凄く上手にできていて、少し気持ち悪くなってしまうくらいには食べすぎてしまった。
「みんな料理上手いね。アリシアも料理作れたんだ」
「はい。蒼様の妻になるのならば料理くらいできて居なければなりませんから」
「そうなの?僕は、料理が出来ていないアリシアでも好きだけれど。勿論、僕のために料理を覚えてくれて嬉しいけれどさ」
「……もぅ、蒼様。私をそうやってだらけさせないでください。あなたの優しさに甘えてしまうダメ人間になってしまいます。それに蒼様はいつも頑張っているのに私が頑張らなくてどうするのですか」
と抗議を入れられた。
恋人たちは元から欠点という欠点は無い人達だったけれど、最近は僕の恋人になったからという理由でより魅力に磨きをかけている。
嬉しいけれど、僕もその分魅力的にならなきゃなって思う。
こういう関係いいな。お互いがお互いをもっと夢中にさせるために高め合う。将来もずっとこんな風にいたい。
そんなことを思いながら目一杯パーティを楽しんだ
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