第166話

「ね、ねぇ、もうすぐ始まるよ」

「そうだねって、シュガーちゃん蒼さんのお膝の上に乗ってるのずるいよぉ。私だって蒼さんのお膝に乗りたい」

「私もー」

「私は蒼様の隣で良いです」

「隣も十分ずるいけれどね」


 さて、学校も始まりだして恋人たちと付き合い始めて数週間すぎたくらいの頃、今日は僕がドラマの番宣で出ているトーク番組の放送日だったので、みんなと一緒に見ようという話になって、僕の家に集まっているわけだ。


 この家が元からかなりの豪邸ということもあってこの人数が来てもまだ余裕がある。


 流石にアリシア邸ほどではないけれどね。


 そして、番組が始まった。


 今日のゲストを当てる小ボケを芸人さんたちが挟みつつ、そして正解の発表になり僕と美優が登場する。


「はい、というわけでですね、今日はいま世界的に見ても有名でありあらゆる面において格好良い青君と今、ドラマに引っ張りだこの美優さんに来てもらいました」

「初めまして、配信者の青です。今日は少し緊張していますが頑張ります」

「こんにちわー、木下美優です。本日はよろしくお願いしまーす」


 僕がテレビに登場した瞬間、僕の恋人たちが身を乗り出して穴が開くほど観察する。


「私の蒼ちゃんがテレビに出ちゃってるぅ―。本当に格好いい。大好きィ」

「ヤバい、テレビで見る蒼さんも格好いい」

「私、青さんの恋人で良いのかなぁ?」

「流石青様、格好良すぎますね」

「ありがとね」


 自分で、自分を見るのは少し恥ずかしい。


 べた褒めしてもらっているけれど、今こうしてみてみると表情が凄く硬いなって思うし、美優がいなかったらもっと緊張してたんだろうなって思うと本当に美優がいてくれて助かった。


「いやー、いつも配信で見てる青君とまさか会えるなんて思わなかったわー。青君以上に緊張してまうわー」

「わ、私たちが緊張してどうすんねん。ば、ば、ば、番組回らんくなるやろ」

「お前が一番緊張してんねん」


 編集と芸人さんのトーク力で面白く纏められていてまなぶことが多いなぁなんて思いながらテレビを見ていると、恋人たちが少しムッとしていることに気づく。


「どうしたの?」

「……この女優の美優って子、それに他の芸人さんも青の事バレないようにずっとチラチラエッチな視線を蒼に送ってる」

「え?そうかな?」

「うん。編集でカットされてるところもあるだろうからもっと本当は多いはず。お兄ちゃん鈍感すぎだよぉ。お兄ちゃん優しすぎるから付け込まれないか心配だよ」

「大丈夫だよ。みんな優しい人だから」


 そう言うとはぁと溜息を吐かれてやれやれみたいな反応をされる。


 現場の人はみんな本当にいい人だったんだけれどなぁ。


 そのまま番組は順調に進んでいき、何事もなく終了した。


 後日知ったことだけれど、視聴率は過去最高だったらしい。

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