第164話
「みんな、久しぶりー。元気にしてたー?」
『それはこっちのセリフだよ、青様。大丈夫だった?』
『私は全然元気だったけれど、青様大丈夫だったの?』
『心配しすぎて、毎日眠れなかった』
『配信辞めちゃうんじゃないかってひやひやしてたんだから』
『元気そうで良かったぁ』
「あはは、ごめんみんな。退院したらすぐに配信しようかなって思っていたんだけれど、色々事情とか重なって…………」
本当は一週間くらい前にはもう配信を始められたけれど、恋人になってからみんながもう赤子のように僕の事を甘やかして、配信をまったくと言っていいほどさせてくれなかった。
特にエリーと白金さんのコンビが僕のお世話をしまくっていて、食事、睡眠、移動まですべて二人がやってくれていて、僕は歩くことくらいしかしていない。唯一したことと言えば、遅れさせてしまっていたドラマの撮影くらいだろう。それも、無事に撮り終わった。
食事を口に運ぶのだって、二人や他の人たちが食べさせてくれるからお箸すら握れない始末。
流石にこれは人間としてどうなのかと思って、運動を始めたら彼女全員から心配げ気な顔をされて果てには泣かれてしまう始末だ。
本当は今日も配信はさせてもらえないはずだったけれど、懇願することでどうにか配信をする権利をもぎ取ることに成功した。一時間を超える配信はしないという約束の元での配信だけれど。
「色々憶測が飛び交ってたけれど、嘘をついても仕方が無いしみんなも本当の事を知りたいと思うからいうけれど、生ライブの後、力が抜けて倒れちゃって。病院の先生に過労って言われちゃった。だから、別に癌とかじゃないからね!!」
僕が配信活動を休止している間、色々憶測が飛び交っていて舞台裏で何かしらで頭を打ってしまったとか、足を骨折しただとか、結構前から癌になっていたとか、本当は青何て人間は存在せず、高性能なロボットなんじゃないかっていう陰謀論的な物を唱える人まで出てきていた。
「色々お仕事が重なっちゃったり、みんなに精一杯の僕をみせたくて生ライブの練習を頑張りすぎちゃったみたい。でも、今はお仕事全部やり終わって落ち着いたから心配しないでね」
『良くないけど、良かったぁ』
『青様が、私たちのために倒れるまで一生懸命練習してくれていたなんて!!確かにものすごいライブのダンス良かったし演出も凄かった』
『青様、嬉しいけれどあんまり無理しすぎちゃダメ。マジで心配だったから』
『凄く心配したけれど、私たちのためだって思うと嬉しくなっちゃう』
『青様って、やっぱり私たちの理想を固めた天使様なんじゃないか?』
『青様最強』
それからちょっとした雑談をしてたり、ライブの感想を言っているといつの間にかもう一時間が経とうとしていた。
恋人たちと約束した一時間という時間を過ぎれば、何をされるか分からないので一時間を超える前に配信を占めることにした。
Tritterでは相変わらず、青の背信がトレンドに入っていたが今日は青降臨とか天使再臨とか神様のように扱われていた。
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