第160話

由利、愛梨さん、アリシア、エリー、シュガーちゃん、莉々さん、梨美、風花ちゃん、柚乃ちゃん、未恋先生、白金さん、母さんの顔を順に追って見る。


 前世では考えられない程、美人な人たち。倒れてしまったらこんな風に一緒に居てくれる素敵な、僕にはもったいない程の人たち。


 そんな人たちが僕の事を好いてくれていて、真剣に僕との将来の事を考えてくれているのだ。


 これだけ待たせておいたのだから、彼女たちの思いに真剣に答えたい。


 それに、僕はあのライブで僕にとっての世界一の配信者に成れる方法が見つかったから。


「由利、聞いてくれるかな?」

「は、はい!!」


 僕の真剣な表情で何事かを悟ったのか由利は緊張した面持ちで僕の方を見る。


 最初に告白するのは由利だって、前々から決めていた。


 みんなに一斉に告白するって言うのもあるにはあるのだけれど、やはり僕は一人一人にしっかり告白したいって思う。


 学校へ行ってからの初めての友達だったし、何より彼女が最初に好意を示してくれたからだ。


「由利は一番初めに好意を示してくれたし、初めての友達だったから由利に最初に告白しようって思う」

「う、うん」


 由利の眼を真剣に見つめる。


 他の人も今だけは邪魔することなく、僕の告白を見届けてくれているみたいだ。


「由利、これから先も僕はこんな風に無茶をしちゃって倒れちゃうかもしれない。迷惑を掛けちゃうかもしれない。だけれど、誰よりも由利を幸せにする自信があるから」

「はいっ」


 由利の眼を真剣に見つめる。


 由利は涙をこらえて僕の告白を最後までしっかりと聞こうとしてくれている。


「由利…………僕と付き合ってください!!」

「はいっ!!勿論です。私もずっと前から祖師谷君が好きでした!!」


 由利は堪えきれなくなったのか涙を流して僕に抱き着いてくる。


 頭を撫でて落ち着かせてあげると、彼女が顏を上げてそっと目を閉じたので拒むことはせず、彼女の唇に唇を重ねる。


 とても柔らかい感触がして、何度でも感じたくなって深く繋がりたくなって何度も軽いキスを繰り返し、深いキスへと移行しようとした時にふと視線に気づく。


 主に梨美とシュガーちゃんがじぃっともう睨んでいるんじゃないかって言うほどの瞳で僕の事を見ていたので周りを見ると、他の人もジト目で見てきていた。


「あ、あはは」

「由利さんが、一番初めに気持ちを伝えていたから最初の告白は譲ってあげたけれど流石にキスは私達だってやきもきしちゃうんだけれど!!」

「ご、ごめん」


 少しだけ思いが昂ってしまい由利を求めてしまいすぎた。


 由利もみんなの前でキスをしたことが少し恥ずかしかったのか頬を染めている。


「ごめんね、由利。本当はもっとロマンチックなところでしたかったんだけれど」

「うんうん、これで良いの」


 首を振ってそう言う由利。


 こういう告白とかって一生記憶に残るものだから、楽しんでくれた余韻そのままリスナーのみんなが出て行ったあとのあのステージで告白しようって思っていたんだけれど。

「こっちの方が記憶にも残るし、祖師谷君を頑張らせすぎちゃった私への戒めにもなるから。これからは彼女として祖師谷君を精一杯支えさせてもらうから」

「うん、よろしくね」


 由利との告白が終わった。


 次は、この人だよね。



 




 

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