第158話

「過労........................ですか?」

「はい、過労です。聞いたところによると祖師谷様は、ドラマのお仕事、学校の学園祭、生ライブの練習、配信、学校生活と毎日一所懸命に動いていたせいか、気づかない内に疲れが溜まっていって大事なライブが終わってどっとその波が押し寄せてきてしまったのでしょうね」

「なるほど」


 確かに、本当に休む暇もなくずっと動いていたような気がする。


 睡眠時間がまともに取れない日もかなり多かったような気もするしドラマとか生ライブとかも絶対に成功させなきゃって言う気持ちでいたから、ストレスとかもあったのかな?


 でも、まぁ兎に角生ライブも大成功だったしドラマの撮影は……そう言えば、今日っていつだ?


「今日って何日ですか?」

「今日はライブが終わってから二日経ってるから……」

「ライブ終わってから二日経ってる!?ちょ、理恵さん、今日はドラマの撮影日でしたよね?」

「そうですけれど、お休みの連絡はしておきましたので大丈夫です」

「で、でも、今僕は何処も異常がないですし」

「絶対ダメです」


 僕がそういうのと同時に理恵さんがとても悲しそうな眼をする。


「ごめんなさい。青様がお仕事を頑張りすぎていることを知っていても止められなかった私の責任ですし、青様が倒れてしまうのなら他所に迷惑をかけるくらい些細な問題です。あれだけ、青様のことを大切にすると言っていたのに青様の体調の面を気にしていなかった私の責任です。如何様にでも罰してください」

「い、いや、理恵さんを罰することなんてできないですよ。僕がやりたいって言って理恵さんはそれを実現させてくれたんですから、感謝を言うことはあっても罵倒するなんてことはありません。いつもありがとうございます」

「あ、あおさまぁ……。優しすぎますぅ、本当にごめんなさいぃ」


 理恵さんは目に大粒の涙を零す。


「私からも、すみませんでした。青様が疲れていることは分かっていたので無理してでも止めるべきでした。申し訳ありません」

「い、いや、白金さん。それは僕のほうこそごめんだと思うよ?だって、前に膝枕してくれたのだって僕の疲れを癒すためでしょ?それなのに勝手に無理して倒れたのは僕だし……」

「それでもです。ごめんなさい。私も如何様にでも……」

「だから、罰しないって。白金さんもありがと。これからもよろしくお願いしていいかな?」

「あおさまぁぁぁぁぁぁぁ」


 白金さんも大粒の涙を零して、膝から崩れ落ちる。


 大袈裟だなぁとは思わない。彼女たちがどれほど僕のことを心配してくれていたのかは理解しているから。


「私からもごめんなさい。母親なのに、あなたのことを体調の事すら気づけないなんて」

「私もごめんなさい。お兄ちゃんの妹なのに。こんなの妹失格だよね。ごめんなさい」

「ちょ、二人とも土下座何てしなくていいから!!大丈夫だから」


 母さんと梨美を宥めると、次はシュガーちゃん、莉々さん、柚乃ちゃん、未恋先生ともうほとんど全員から謝罪される。


 絶対僕が悪いと思うんだけれど。

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