第151話

『これより、文化祭を開催します!!』


 去年と同様に今年も校内放送で開会宣言がなされて文化祭が始まる。


 去年と違うところと言えば、僕たちはカフェのようなものではない為劇が始まる時間までは比較的暇だということだ。


 去年は、始まりと同時になだれ込むように人がやってきてほとんど休む暇がなかったくらいだったな。


 それでもとても楽しかったしいい思い出だ。


 さて、僕は梨美のクラスへと行くとしようか。


 昨日折角もらったんだから使わないと勿体ないし、梨美が僕のために作ってくれるのだから食べたい。

 

 いつものメンバーと一緒に梨美のクラスへと行こうとすると、廊下には沢山の人がいて僕のほうを指さして感激している人が結構いる。


 この学校には部外者の人は入れないことに成っているから、この学校に通っている生徒の親族の人や別の学校の友達だろうな。


 よしっ、僕と会えて嬉しがってくれているみたいだからファンサービスをしようかな。


 そろそろ、ライブも近くなってきたしいい予行練習にはなりそう。


 小さく手を振ってきている人に僕も手を振って返してあげたり、感動して泣いてしまっている人にはハンカチで涙を拭いてあげたり、サインを欲しがっている人には笑顔で対応してあげたり。


 梨美のクラスへと行くまでにかなり時間はかかったけれど、喜んでくれたみたいでよかった。


「祖師谷様は、優しすぎますね。あんなことされれば死ぬまで覚えていますよ」

「私も、もし祖師谷君と出会っていなくて初めて会ってあんなファンサービスされたら喜びすぎてその日は眠れなさそう」

「そんなに?別に割と普通だと思うけれど」

「………だから祖師谷様は祖師谷様なんです」


 とエリーによくわからないことを言われつつ、いつものメンバーに加えぞろぞろと他の人たちも連れてやっと梨美のクラスがしているたこ焼き屋まで来た。


「梨美、来たよ」

「あ、お兄ちゃん。来てくれたんだ。ありがと」

「勿論。はい、これ。梨美の手作り作って欲しいな。あとみんなの分も」

「任せて。物凄く美味しいの作っちゃうから」


 梨美が作っている間、アリシア達と話しながら待っていると意外と早くたこ焼きが来たのでさっそく一口食べてみる。


 すごく熱々だったけれど、それが美味しくてタコもプリプリで素人が作ったとは思えないくらいの味だった。


「どう、お兄ちゃん」

「すっごく美味しいよ。ありがとう、梨美」

「えへへ」


 微笑む梨美の頭を優しく撫でてあげる。


 その光景を見ていた周りにいた僕目当ての人たちが、美味しいと聞いたからか続々と梨美のクラスのたこ焼きを買っていく。


「別に狙ってないけれど、お兄ちゃんの集客効果凄すぎ。すごく儲けれそうなんだけれど」

「あ、あはは。良かったね」

「中の人たち忙しそうだから、私、行くね」

「うん、行ってらっしゃい」


 梨美と別れてからも、色々な売店を回ったけれど僕が美味しいとか買ったものは飛ぶように売れていくので良くわからないけれど、そのクラスの人たちにすごく感謝されることとなった。




 


  

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