第150話
「もうすぐ文化祭だねぇー」
「いつの間にか明日だもんね。みんなで準備するのも今日でラストだからなんか寂しいな」
「そうだね」
文化祭、ドラマ、配信、ライブ練習と色々立て込んでいる今日この頃。
今は文化祭の劇の最終リハーサルを終えて、みんなで学校を見回っている所だ。
いつもは学校が閉まっていて入れない時間だから、こうして夜に学校にいられるという特別感があってすごく楽しい。
「私、アニメとかで見て日本の文化祭に少し憧れていましたからこうして参加出来て楽しかったです」
「アリシア、まだ終わってないよ。明日が本番だからね」
「ふふっ、それもそうですね。明日も目一杯楽しみたいです」
アリシアはそういって楽しそうに笑うので僕も嬉しくなる。
「あ、おーい、お兄ちゃん。こっち、こっち」
「あ、梨美」
僕を見つけてぴょんぴょんと飛んでこちらに手を振ってくる梨美を見つける。
そういえば、梨美と風花ちゃんのクラスって何をするんだろう?
「はい、これ」
「これは、私が作ったお兄ちゃん専用のチケットだよ。そのチケットを使用すれば私が作ったたこ焼きが買えるの」
「ありがとね。じゃあ、梨美のクラスってたこ焼き屋やるんだ」
「そうなんだよね。絶対美味しいたこ焼き、お兄ちゃんに作ってあげるから」
「楽しみにしてる。梨美たちはこれからどうするの?」
「私たちは、もうやることはないかな」
「じゃあ、一緒に他のクラスがどんなことやるのか見て回らない?」
「うん、行く!!」
いつものメンバーが揃い、色々な出し物を見ていく。
中には厚意で僕たちに体験させてくれるところもあった。
例えば、三年生のクラスでは教室でジェットコースターを作っていてそれに乗らしてもらったり、二年のクラスではお化け屋敷をするみたいでかなり高クオリティのメイクをされたお化けが出てきた。
かなり怖かったようで隣にいた由利が僕の腕に抱きつくと、それを見てエリーも何気なく
「怖いですー、祖師谷様」
と棒読みで僕に抱き着き、アリシア、愛理さん、梨美、風花ちゃんがそれに続いてついにはお化け役の子まで僕に抱き着いてきてなんか変なことになった。
いつまでたっても出てこないから他の子が来てくれたけれど、みんなが僕に抱き着いているのを見て何故かその子も僕に抱き着こうとしてさらに増えていき、いつの間にかお化け屋敷が僕を抱きしめる出し物みたいになってしまった。
「はぁ、楽しかったですね」
「そうだね」
「途中から違う出し物みたいになっていたけれどね」
「ふふっ、そうですね」
明日もこうしてみんなと笑いあえているといいな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます