第145話
「おはようございます、皆さん。皆さんも知っている通り今年も文化祭の季節がやってこようとしてますね。そろそろ出し物を決めなくちゃいけないと思うので、一時間目を潰して文化祭の出し物を考えることにしまーす」
もうそんな季節か。この約一年、色々ありすぎて長いようで一瞬だったから時間の経過の速さを感じる。
このクラスの委員長が教壇に立って話を進めてくれる。
「えー、去年、このクラスでは祖師谷君に色々なコスプレをしてもらいながらお客様に給仕するコスプレ喫茶をやりました」
「そんなことしてたんですか?祖師谷様」
「うん。結構楽しかったよ。いろんな人が来てくれたし、コスプレも楽しかったし」
「うぅー。ずるいです。私ももう少しあなた様を早く知ってこの学校に転校することができていれば祖師谷様のいろんな姿が見れたというのに」
「二人とも、去年の写真撮ってあるからみる?」
「「見ます!!」」
「後でね。今は今年の分を考えないと」
「「分かりました。では必ず後で見させてもらいます」」
どんだけ僕のコスプレ姿みたいんだよ。
まぁ、確かにアリシアやエリーが何かのコスプレをしてくれたら見たくなるけれどさ。
「去年と同じコスプレ喫茶をするというのも、華がありませんよね」
「そうだね」
「せっかく祖師谷君がいるんだからまた違う何か思い出を作りたいな」
クラスのみんながうーんと悩む。
「勝手に話を進めてしまいましたけれど、祖師谷君は文化祭に参加してくださりますか?」
「うん、勿論だよ。今年もみんなと精一杯楽しみたいな」
「「「よしっ!!」」」
思いついた人から順に、お化け屋敷、たこ焼き屋、僕を取材した雑誌を売ってみるとかいろいろ案が出たけれど、中々これというものが出ない。
というか僕に取材して雑誌売るってクラスで何かしたって感じじゃないし。
「去年も案に出たけれど、劇をするっていうのはどうですか?勿論、主役となってもらうのは祖師谷君になりますけれど」
その案が出た瞬間、クラスの雰囲気が一瞬で変わった。
さっきまで何か良い案を出そうと一致団結していたクラスメイト達が、一斉にお互いの間合いを確かめ合う狩人のような目つきへと変わった。
なんで?
「その場合、ヒロインとなる役は誰になるんですか?」
「勿論、私です」
「私以外ありえません」
「私だって、祖師谷君にお姫様抱っこされたい!!」
「私は、実際の貴族ですしそういうお話になったときリアリティが増すと思いますけれど」
「ここは、さすがの私も譲れませんね」
まだ、どんなお話をするのかも決まっていないのに、絶対に僕の隣を取って見せるという気概を見せるクラスメイト達。
「じゃあ、恨みっこなしのじゃんけんで勝負しましょう」
「そうですね、それが一番公平です」
僕も混ざりたいなーとか思いながらも、僕以外のクラスメイト達が少数のグループを作ってそれぞれじゃんけんをしていく。
それぞれのグループから勝ち残った戦士たち..........................
アリシア、エリー、由利、その他二名のクラスメイト。
惜しくも愛理さんはじゃんけんで負けてしまい、予選で落ちてしまった。悔しそうに唇をかんでいた。
「それじゃあ、最終決戦です。じゃーんけーん」
「「「「「ポンッ」」」」」
そして勝ったのは.........................
「私ですね。よろしくお願いします、祖師谷様」
勝ったのは、アリシアだった。
ほか四人は呆然として膝から崩れ落ちてしまった。
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