第135話

「以前ドラマの話をしたことは覚えていますか?」

「はい、覚えています」

「やってみませんか?主人公の相手役」

「.....僕がやってもいいんですかね」


 事務所に集まる事となり、理恵さんから切り出された話題はドラマについてだった。


 正直不安でいっぱいである。今まで一度もお芝居何てしたことが無かったから。シチュエーションボイスとか疑似彼氏の動画はお芝居とはまた別だろうからね。


「大丈夫です。青様が主人公の相手役なのだとしたらきっと素晴らしい映画になります。前にも言いましたが、男性俳優というものはありますが、やる気が微塵も感じられず見ていて青様のマネージャーになった今では不快なくらいです。青様はやるとなったらキッチリとこなしてくれますし、多少ミスしていても可愛いので大丈夫です。何より私がプロの台本で演技をしている青様が見たいです」


 すごい私情が入っているけれど、まぁ、ここまで言われたらするしかないよね。


 少し不安だったけれど、やってみたいっていう気持ちはあるしこれをきっかけに僕の事を知ってくれる人もいるかもだからやらなくきゃ損だよね。


「.....分かりました。やってみます」

「本当ですか!?分かりました、今すぐ先方に伝えさせますね」


 僕が俳優デビューか。


 配信を始めた当初は全く想像もつかないくらい大きくなったなぁ、僕。そういえば、もうすぐこっちの世界に転生して一年たちそうだし、配信を始めてから一年経ちそう。


「そういえば、理恵さん。僕、もうすぐ配信者活動一年を迎えるんですよね」

「そうですね、今日はその話も詰めておきたいなと思っています」


 理恵さんも理解してくれていたのかそう言う。


 さて、これまでクリスマスとかイベントの時にはいろいろしてきたけれどどうしよう。


「ライブは、夏に生ライブをしますし...........何をするか悩みますね」

「毎回喜ばれていることですし、シチュエーションボイスとASMRは撮っておいた方がいいでしょうか?」

「そうですね、あれは何度聞いても良い永遠に味のし続けるガムのようなものなので大丈夫でしょう」

「他には...........そうですね、また新しく曲を出すのはどうでしょうか?」

「いいですね、誰に頼みますか?」

「もちろん、シュガーちゃんに頼みます」


 オリジナル曲とか増やしていって何時かはCDとか出せる日が来るといいな。


「その頼み、引き受けた!!」


 これまたタイミングよく扉を開けたのはシュガーちゃんだった。


 一体いつから聞いていたのやら。そして、毎回僕が事務所に来ると現れるのは怖いを通り越して凄い。


「また、私達二人の愛情の籠ったこどもつくろ」

「う、うん」


 曲の部分が若干妖しい響きなのはこの際おいておこうと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る