第134話
「青、ぎゅー!!」
シュガーちゃんに抱きしめられながらベッドで寝転がる。
例の券をシュガーちゃんが使って僕に要求してきたことは、私だけの人形になって欲しいというものだった。
そういう訳でシュガーちゃんの自宅で、一緒にごろごろしている。
「青はやっぱり最高の抱き枕」
胸に顔を埋めてスンスンと匂いを嗅いで悦に浸っているシュガーちゃんの顔は、まずい薬に手を染めてしまった人のようで、犯罪臭がすごい。
一時間程度、シュガーちゃんに抱きしめられ続けられていると、何かを思い出したのか僕を立たせて、音楽機材や防音設備が整っている部屋へと入る。
「青はそこに座って。今から少し作業しなきゃいけない。こんなことなら依頼受けなきゃよかった」
僕の膝の上に乗ってやる気なさげにそう言ってから、集中してパソコンへと向かう。
何をやっているのかは正直分からなかったけれど、改めてシュガーちゃんがすごいんだなということは理解できた。
集中力はすごいし、まるで音楽の神様が宿ったんじゃないかというくらいに淡々と作っていく様に見惚れてしまった。
いつもは気の抜けていたり可愛いところしか見ていないから尚更だ。
数時間してからひと段落したのか溜息を吐く。
「終わったの?」
「まぁ、今日のところはね。まだやることはあるけれど今はこれでいい」
そこでぐぅとお腹が鳴る。
「お腹も減ったし、ご飯にしよっか」
「うん」
「僕が作ってもいい?」
「………お人形さんが料理........青の料理食べたいからいいか」
シュガーちゃんが許可を出してくれたため、キッチンに立ち適当に作っていく。
開封されていない調味料とか色々あって助かった。元々、今日のお昼のことも考えて食材は買ってきておいたから。
サッと調理を済ませて、テーブルに並べる。
「料理ができる旦那さんはすっごくポイントが高い。青はどこまでも完璧で凄くて流石私の未来の旦那様」
「ありがとね、じゃあいただきますしよっか」
「うん」
「「いただきます」」
シュガーちゃんも僕の作る料理をおいしいと言って食べてくれる。僕の周りにいる女性の人たちは美味しいと言って食べてくれるから何度でも作ってあげたくなるんだよな。
二人で昼食を済ませてからはまた、ベッドでゆっくりとする。
シュガーちゃんは僕のことをずっと抱きしめていたいという理由で人形になってもらうというお願いをしてきたから、僕もされるがままに抱きしめられる。
いつの間にか眠くなってしまい、二人して目を閉じてしまった。
「………ここは........?」
ぼやけた視界で、状況を把握する。
確か、シュガーちゃんのお部屋で一緒に寝ていたような........あれ?シュガーちゃんは?とそう思って探すと僕のズボンをゆっくりと下ろそうとしていた。
「何してるの?」
「………っち。起きちゃった。おはよ、青」
「うん、おはよ。それで何をしていたのかな?」
「........お人形さんのお着換えをしてあげようかなって思って」
そんなことを言って目を反らすシュガーちゃん。
危ないあと少しで貞操が散らされていた可能性があった。
いずれは、シュガーちゃんともそういう関係にはなりたいと思っているけれど、今はまだ早い。
「って今何時?」
「もう七時を超えてる」
「やばっ!?白金さんにお迎え六時に頼んじゃったんだけれど」
「大丈夫、白金には私から連絡しておいた」
「そうなの?なら、よかった」
「うん。だから青は今日、私の家でお泊りだよ?」
「え?」
シュガーちゃんは白金さんに僕がシュガーちゃんの家でお泊りするから迎え入らないと伝えたそうだ。
「大丈夫、着替えとかは用意してあるから」
「やけに準備がいいね」
「私、できる女だから」
シュガーちゃんに流されるまま、その日はシュガーちゃんの家に泊まることになった。
特に何もなかったけれどね。
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