第133話

「そ、蒼お兄ちゃん。一緒にゲームしよ?」

「良いよ、風花。一緒に遊ぼっか」

「お姉ちゃんの私も混ぜて」


 風花ちゃんが慣れない様子でそんな可愛いことを言ってくるので快く引き受ける。


 ちなみに今、お姉ちゃんと言ったのは梨美だ。


 今がどんな状況か説明をすると、例の券を使って二人が僕にこうお願いしてきたのだ。


「私は、青様の妹になりたいです」

「私はお兄ちゃんのお姉ちゃんになりたい」


 と言われたので引き受けたわけだ。


 二人同時でいいのかと言ったのだけれど、構わないと言われたため二人同時に相手をすることにした。


 三人でゲームをする。


 風花ちゃんはあんまりゲームが得意ではないのかすぐにやられてしまうため、二人で協力して梨美を倒すことにする。


「ひどいよ二人とも‼!お姉ちゃん泣くよ?」

「だって、お姉ちゃんが強すぎるのが悪いと思う」

「そうだよ」


 流石の梨美も僕と風花ちゃんのニ対一では勝てないのか悔しそうにしている。


 三人で遊ぶこと数時間、お腹が空いてきたのでお昼にすることとなったが.....


「僕がやっぱり作ろうか?」

「ダメだもん。お姉ちゃんの私が作るから」


 僕が作ろうとしたところ、梨美がお姉ちゃんだからという理由で梨美が作る事となったのだけれど少し不安だ。


 怪我でもしたら大変だから。


 梨美が作ってくれたお菓子を食べたことはあるから味は大丈夫だけれど、やはり心配なものは心配なのだ。


 数十分程度してから無事に作り終えたのかお皿に盛り付けて持ってきてくれる梨美。


 作ったのはトマトパスタのようで、かなり美味しそうだ。


 早速冷めないうちにいただきますをしてから食べ始める。


「どうかな?」

「すっごく美味しいよ。お姉ちゃんは流石だね」

「すごいよ、お姉ちゃん」

「えへへ、そうでしょー」


 お姉ちゃんと呼ばれ、褒められたからなのか物凄く嬉しそうにしている。


 梨美が作ってくれた物を完食してから、お昼休憩に入る。


 ゲームは先ほどしすぎたので、今はゆったりとする時間で三人でくっついてダラダラとしたり、漫画を読んだりして過ごす。


 ゆったりと過ごした後は、お姉ちゃんである梨美と妹である風花ちゃんがキッチンへと立って僕のためにお菓子作りをしてくれるみたいだ。


 僕がしてもらっているばっかりで少し申しわけなくなってくるし、二人のための日なのにこれで良いのかなと思いもしたけれど、二人が楽しそうにしていたのでいいか。


 クッキーを作っているみたいだが、生地を元々寝かせて置いたみたいで作り終わるまでが早く、四十分程度で終わったみたいだ。


「はい、蒼。あーん」

「あーん。.....美味しいよ、お姉ちゃん」

「っ!!もっとあげるね。あーん」


 僕のお姉ちゃん呼びがとても気に入ったのかその後、何度もお姉ちゃんと呼ばせられたが、可愛いので良しとしよう。


「はい、風花。あーん」

「あ、あーん」


 梨美に食べさせてもらったように、今度は僕が風花ちゃんにあーんをしてあげる。


 小さく口を開けて食べる風花ちゃんに小動物味を感じて、思わず可愛がりたくなりついついあーんをしてあげたくなってしまう。


 三人で食べさせ合いっこをしながらおやつを終えると、タイムリミットまでもう少しになって仕舞っていた。


 エリ―とアリシアも五時と決められていたため、二人だけ贔屓することは出来ないからあと少しで終わってしまう。


「今日は楽しかったな。いつもは私と蒼は逆だもん」

「私もお兄ちゃんの妹に成れて楽しかった」

「僕も風花のお兄ちゃんに成れてよかったし、お姉ちゃんがいて楽しかったし新鮮だった」


 話していることを他人が聞けば意味が分からない会話で、三人とも少し笑ってしまった。



 そんなこんなで、梨美がお姉ちゃんで風花ちゃんが妹の日は終わった。



 


 

 

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