第119話

「こんばんわー、今日もお疲れ様ー」

『こんばんわ、青様』

『突発に配信してくれるの嬉しすぎる』

『今日も青様は美しくて、格好良くて、最高です』

『格好いい』


 バレンタインデー翌日。


 事務所に送られてきたチョコレートやお菓子たちは、僕の家に入れるとお菓子まみれになって仕舞うほどなので事務所の倉庫で預かってもらうことにした。


 カップケーキとか、チョコレートとかの冷蔵庫に入れないと溶けてしまったりダメになって仕舞うものは業者さんのお力を借りて、業務用冷凍庫とかでどうにか保存している状態だ。


 まさか、これほどのチョコを貰う日が来るなんて思いもしなかったけれど、改めて自分の影響力を痛感する出来事となった。


「突然配信してごめんねー」

『全然いい』

『むしろ、こういう方が彼氏に振り回されている感あってドキドキする』

『むしろしてくれてありがとう』

『今日は無いんじゃないかって思ってたから』


 毎回しっかりみんなが来てくれるように配信数時間前にはtreetするようにしているんだけれど、今日は何もなしで初めてしまった。


「今日、急に配信したのは......バレンタインデーだからだよ。みんなからあんなにお菓子貰えてびっくりしちゃった。業者さんにお願いしなきゃ家がお菓子の家に成っちゃうくらい来てて」

『ヤバスギるww』

『流石青様』

『やっぱり、みんな送るよね。私も青様に送っちゃったし』

『だろうなとは思った』

『笑笑』

『迷惑だったかな?』

「迷惑なんかじゃないよ。みんながそれだけ僕の事を思ってくれているんだって思えて嬉しいしありがとうって思うから、感謝したくて配信したくなって配信しているから」


 その気持ちは本当だ。


 リスナーのみんなが一人一人思いを込めて作ってくれたものだから本当にありがたいなって思ったし。


「あ、だけれど、注意したいことがあってね。僕に直接渡したくて学校に来てくれるのはありがたいし、みんなの顔も見れて僕は嬉しいんだけれど他の生徒の迷惑になっちゃったりするからそこだけは言わせてね?でも、一生懸命渡そうと思ってきてくれたのは凄く嬉しいから、また、別の機会で、生の僕と会話しようね。前も言ったけれど、そのうち会えると思うから」

『はーい』

『ごめんなさい、直接渡したいって思っちゃいました』

『青様に叱られるの気持ちいい』

『もう二度としません』

『ごめんなさい』

「うん、反省できる人は凄いなって思うし、素直に謝まることが出来る人、僕は好きだな」


 登校したくても登校できない生徒とかいただろうから、そこだけは少し注意しておかないとなって思ったから言わせてもらった。


「注意はこのくらいにしておいて、今日はみんなに僕からもプレゼントしたいなって思って。いきなりで僕も考えてないんだけれど。あ、心配しないで、ホワイトデーにはまた何か用意するからね」

『やっぱり青様って天使の生まれ変わりなんじゃないかって思う』

『優しすぎない?』

『大天使様なんだな』

『この時代に生まれることが出来た私って多分前世で世界救ってるんだろうな』

『青様しかかたん』


 ホワイトデーはまた追々考えていくとして、今日は何かみんなにしてあげたいなって思うけれど、何をするか考えずに配信を開始したから思いつかない。


「何をしたらみんなが喜んでくれるかな?」

『配信してくれてるだけで嬉しい』

『本当にそう』

『配信が見れているだけで幸せ』

『逆に感謝したいくらいなんだけれど?喜ばせたい。お金要る?』


 逆に何故か投げ銭機能でお金を投げられ始める始末。


 ホワイトデーはASMRとか色々してあげようかなって考えているけれど、突発的にしてまた社会的機能を低下させて理恵さんにジト目を向けられるわけにはいかないし。


「うーん、じゃあ何か僕に言って欲しいフレーズとかある?今なら特別に何でも言うよ?あんまり長いのは無理だけれど」

『マジ!?』

『神来た!!』

『何言ってもらうかが重要だ』

「じゃあ、みんなどんどんコメントしていってー。多かったものから抽選していくから」


 いろいろ案が挙がって、多かったものは『大好きだよ』とか『愛してる』とか「ねぇ、エッチしよ?」とか前世なら誰得だよと突っ込みたくなるものが一位二位三位を独占している。


 まぁ、前世で例えるなら女性がこのフレーズを言ってくれていると思えばこう、来るものがあると言えるだろう。


「じゃあ、三位から言うね」

『ちょっと待って、心が』

『うぅ、聞きたいけれど聞きたくない』

「じゃあ、いいまーす。......大好きだよ」


 心を込めて、愛情が伝わるようにマイクに向かって呟くと、コメントが爆速で流れる。


『前までの私ならここでダウンしてた』

『青様に鍛えてもらっていて良かった』

『私も大好きだよ、青様』

『結婚しよっか』


 最近、僕が刺激を与えすぎて段々とリスナーにも耐性がつき始めているみたいだ。


「じゃあ、次は.............愛してるよ」

『!?』

『うぅ.............堪えろ』

『まだだ......』

『エッチしよ?を聞かないと!!!』

『倒れちゃダメだ、倒れちゃダメだ、倒れちゃダメだ』

 

 まだどうにか耐えている人が結構いるみたいなので、止めを刺すつもりでまるで恋人を相手にしているかのような感じで......


「ねぇ......えっち、しよ?」

『ぐはっ‼!』

『.............』

 

 これが止めとなった人が多いのか、コメント欄のスピードが急に遅くなりぽつぽつと数人程度がコメントをしてどうにか堪えてしているみたいだ。


 何故か僕はその人たちまで止めを刺したくなり、


「じゃあ、最後まで残ることが出来た人たちだけに.............大好き、だよ。これからもよろしくね。ちゅ」


 と最後にリップ音を鳴らしてまるでキスをしたような感じにすると、コメントが完全に止まった。


 今更になって、やりすぎたと感じた僕はそっと、配信を閉じてtritterで感想を書いた。


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 お久しぶりです、kanikuiです。


「貞操観念逆転異世界でフリーハグしてたらいつのまにか世界中の人たちに取り合いをされるようになった」

「どうしても彼女が欲しい僕は、事故物件の超絶ヤンデレ美少女幽霊と付き合うことにしました」 


 を出しました。よろしくお願いします

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