第116話

「みんな、こんばんわー」

『こんばんわ』

『マジで、楽しみにしてた』

『青君、今日も格好いい、最高』

『本当に可愛い』


 さて、今日は予告していた通り波崎さんとのコラボ日当日となった。


 配信待機画面にはいつもより多くの人がいて、それだけ波崎さんの力があるんだなと実感するとともに気を引き締める。


「今日は、いつもの僕の家じゃなくてみんなも知っている通りスタジオに来ています。そして、今日は特別ゲストがいます」

『誰だ?誰だ?』

『予告にデカデカと書かれてるのよw』

『まさかあのアイドルじゃないよね?』

『もしかしてあのアイドルか!?』

「じゃあ早速、来てもらおうかな。波崎さん、どうぞ」

「青君のリスナーの皆さんや、私のファンの方々、こんばんわー」


 波崎さんが、笑顔で手を振りながら登場してくれる。その笑顔は、物凄く可愛くて流石アイドルだなって思う。


 僕も自然と笑えるようになりたいなって思うから。


「ということで、波崎さんとのコラボです!!」

『やったー!!』

『二人とも、お顔が綺麗』

『青君の隣に立っても、全然違和感がない』

『二人とも様になっているというか、とにかくすごいです!!』

『推しと推しのコラボで私は脳が破壊されてる』


 波崎さんのファンにも僕が受け入れられていて良かった。


「それじゃあ、早速だけれど事前に募集していた質問を読んでいこうかなって思います」

「良いですね。お願いします」

「じゃあ、まず、最初は…お二人はどうしてそんなに格好良くて、可愛いんですか?ってコンなの僕に読ませないでよ、スタッフさん。波崎さんだって困るでしょ?」

「そ、そうですね」

『wwwww』

『笑笑』


 掴みは順調で、その後もどうして二人はコラボするようになったのかとか、お互いの凄いなって思うところとかを答えていき、三十分ほどが経過したところで、二人でお互いのオリジナル曲をデュエットすることに成った。


 ここ二日くらいの短い練習期間だったけれど、そんなに多く歌う訳でもないし、波崎さんとの相性が良かったのか、波崎さんが僕に合わせてくれたのか凄く旨く出来ていて、まるでそれが最初からそんな曲だったのかと思ってしまう様な感じだった。


「じゃあ、まず僕のオリジナル曲から。波崎さんのファンの方々も楽しんでいってくれるといいな」


 波崎さんとスタッフの人と目配せをして、曲が開始する。


 練習と同じように、波崎さんが僕に合わせてくれるように歌ってくれて、ミスすることなく歌い終えることが出来て、続く波崎さんのオリジナル曲も同じようにミスすることなく歌い終えることが出来た。


「波崎さん、やっぱり歌が凄く上手ですね」

「そんなことないですよ、青君の方が凄く上手ですよ?」

『私達からすれば、二人ともうますぎる』

『普通に感動した』

『青君の歌声は万病に効く』

『二人とも格好良かった』


 リスナーのみんなにも好評みたいで、良かった。僕の歌声が邪魔だとか言われたら少し傷つくからね。


「じゃあ、今日はこれくらいで終わりかな?」

「そうですね。終わってしまうのは悲しいですけれど」

『まだやっていてくれ!!』

『二人の歌声をもっと聞きたい』

『二人の姿をずっと見て居たい』

『壁になりたい』


 時間も一時間を超えて、予定より少しだけオーバーしているので、今日はこの辺で配信を閉じることにする。


「みんな、また配信でね。波崎さんのファンの方々もありがとう」

『こちらこそありがとうございました』

『またね、青君』

「波崎さんもありがとうね」

「いえ、此方こそ。青君のリスナーの皆さんや、ファンの方々。今日はありがとうございました。また、どこかで」

「じゃあ、またねー」


 二人で手を振って配信を閉じる。


 今日のトレンドは、#二人のアイドルとか僕と波崎さんの事でいっぱいだった。





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