第114話

「初めまして。波崎知佳です」

「初めまして、配信者をしている青って言います」


 お互いが頭を下げる。


「私、ずっと前から青さんを見ていて凄い人だなって思ってて」

「ありがとうございます。波崎さんもCMとか出られててものすごい人だなって思います」

「そんなことないです。青さんの方が凄いなって思います」


 改めて波崎さんを見ると、前世で言うオトコの娘っていう感じがある。女の子なんだけれど。


 髪は黒髪のショートカットで、幼さが残った顔立ちをしている。そして、胸が小さくてほっそりとしている。


 シュガーちゃんは別ベクトルの小動物感があって、守ってあげたくなる可愛さがあるなって思う。


 波崎さんと会ってはいるけれど、今日は別に一緒に配信をするっていう日ではない。来週その予定が入っていて、その前に一度会いたいと波崎さんの方から連絡がtritterで僕の方へと飛んできたので実際に会ってみることとなった。


 僕としては波崎さんの事を知れるし、配信当日で緊張せずに済むからありがたい申し出だったので受け入れる一択だった。


「私、ずっと青さんの配信を見ていて凄い人だなって思っていて。面白いし、頑張ってるし、格好いいし、優しいし」

「褒めすぎですよ。波崎さんだって、凄く頑張っていて可愛いし綺麗だなって思います」

「わ、私、綺麗ですか?」

「はい、らしくてとても可愛いって思います」

「っ!!そうですか。ありがとうございます」


 波崎さんは頬を真っ赤にして、嬉しそうにはにかむ。

 

 その笑顔が物凄く可愛くて、ドキッとしてしまう。流石アイドルだなって感じがする。


「確かに、知佳は可愛いけれど私の方が可愛い」

「シュガーちゃんも可愛いよ」

「うふふ、ありがと」


 何故か、シュガーちゃんもいるけれどまぁ、そこは今更気にしていても仕方が無いので触れないことにしよう。


 本当に、どこから情報を取って来るんだか。


 気づいたら、スタジオにいて僕の膝の上に座っているのだから仕方が無い。


「やはり、青さんって女の子に優しいんですね」

「そうですか?僕としては普通に接しているだけなんですけれど」

「そんなに、女性とくっついたり、女性の眼をみてしっかり話をしてくれる人なんて世界にどれだけいるか」

「波崎さんもしてみますか?」

「え!?い、良いんですか?」


 と驚いた表情をする波崎さん。


「嫌でなければ、全然してもらって構いませんよ」

「嫌なわけないじゃないですか。じゃ、じゃあ行きますよ」


 シュガーちゃんをおろして、波崎さんを膝の上に乗せる。


 波崎さんは幸せそうな顔を浮かべて居るので、頭を撫でてあげると「はふぅ......」と落ち着いた様な声を出す。


 数分間そうしていると、服の袖をシュガーちゃんに頬を膨らませながら抗議されたので、波崎さんをおろしてシュガーちゃんを戻してあげると、嬉しそうに喜ぶ。


「幸せな時間でした、ありがとうございます。この思い出があれば頑張って生きて行けそうです」

「そ、そんなにですか?別にしたいって思ったら言ってくれれば幾らでもしますけれど」

「ほ、本当ですか?じゃあ、帰るときにもう少しだけしても良いですか?」

「はい、大丈夫ですよ」


 それから波崎さんと、配信についてやお互いの事などについて話して中を深めていき、別れるころになると、最初の方に会ったぎこちなさが消えて友達のような感覚になった。


「それじゃあ、また」

「あ、ちょっと待って。そう言えばしてなかったから。少し違うけれど」

「え!?」


 帰るときに膝の上にのせてあげるということが出来ていなかったため、僕は彼女の細くて小さい体を抱きしめる。


 幸せそうな蕩けている顔をしていて凄く可愛い。 


「コラボ配信、頑張ろうね」

「はい!!」




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「はぁ......青さん、格好良かったな」


 私はうっとりとした声を出してしまう。


「それに女の子らしくて綺麗って言ってくれた」


 私は、れっきとした女の子ではあるけれどどこか幼い男の子のように見える一面もあるので、そう言われてきたし、それでアイドルになって成功しているから、文句何て言わない。


 けれど、男の人であんなに格好いい青さんに、女の子らしいって言ってくれて私はとても嬉しかったのだ。


 可愛いとは言われたことはたくさんあるけれど、綺麗だとは言われたことは無かったからそれも嬉しかった。


 コラボ、楽しみだな。



 


 





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