第112話
午前中の授業が何事もなく過ぎていき、お昼休みとなった。
先生にお願いされていた通り、僕は校長室へと足を運んでいた。アリシア達も一緒について来ようとしていたけれど、流石に誰か個人の話とかの場合、僕だけの方がいいのでお留守番をしてもらうことにした。
校長室へと着き、扉を開けると校長先生がイヤホンを耳に突っ込んで蕩けたような顔をして若干甘えたような声を出している。
「校長先生、来ましたけれど」
「あ、祖師谷君。ありがとう来てくれて」
「えっと......三年生の学年主任さんですよね?」
「あ、覚えててくれたの?ありがとう」
「はい。それで校長先生は何してるんですか?」
「あー、今この人は、青様のASMRを聞いているのよ」
あー、なるほど?
聞いてくれているのは嬉しいけれど、流石に話を聞きたいので校長先生がしているイヤホンを耳から抜き取って現実へと戻ってこさせる。
「はっ!?ここは......って、青様。来てくださっていたんですね?」
「はい」
「すいません、来てくださっているのにも拘らず醜態をみせてしまい」
「いや、僕のASMRを聞いてくれていたんですよね。ありがとうございます」
「はい‼!何度でも聞いています。もうシチュエーションボイスと合わせてどれだけ聞いた事か。あのシーンは......」
「ストップ、です。それより今日はどのような用件で僕を呼んだんですか?」
校長先生が興奮した様子で、僕のASMRの感想を言い始めようとしたので止めて、話を戻すことにする。
「あ、そうだね。今日祖師谷君を呼び出したのは、祖師谷君に可能であればお願いしたいことがあるんです」
「お願いとは?」
「三年生たちの受験がもうすぐ始まるのは知っていますか?」
「はい」
前世で言うところの、共通テストのようなものがあと一週間程度で始まる。
この学校は、男子が通えるくらいには理性の高い女子たちが集まっていて、学力もかなり高く毎年、かなりの人数が有名大学へと進学していっている。
「その三年生たちにエールを送って欲しいのですけれど。それは可能ですか?」
「あ、良いですよ。それで三年生の人たちの力になれるのでしたら、喜んでします」
「本当ですか!?ありがとうございます」
「三年生全員が泣いて喜ぶと思います」
僕がエールを送るだけで、三年生の皆さんがさらにやる気になってくれるというのならそんなこと何の苦でもない。
「それで、いきなりで申し訳ないんですけれど今日の放課後、お時間は?」
「大丈夫です。場所はどこにしましょうか?」
「体育館でしたいと考えています」
「分かりました。ですが、三年生の中には、僕のエールを聞くよりも一秒でも多く勉強をしたいという人もいるでしょうから、強制はしないでくださいね」
「そんな人はいないと思いますけれど、分かりました」
さて、今から準備するのには時間が足りないので、以前、クラスのみんなのために踊ったダンスを披露しようと思う。
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