第107話


「うぅ........寒い」

「そうですね」


 初詣ということで、いつものメンバーで集まって初詣に行こうという話になった。


 まぁ、当然人は多いしその中には当然僕の事を知っている人たちが沢山いて泣いている人や恥ずかしそうに照れている人、可愛く手を振ってくれている人など沢山いる。


 日程をかなりずらしてみたが、未だに参拝客はいるもので僕の周りには人だかりができていた。


 けれど、僕に決して触れることは無く一定の距離を保って見ている人ばかり。


 意外と人は慣れるもので今となっては結構ファンサービスを出来るようになり、手を振る事だったり笑顔で対応できるようになるものだ。


「申しわけありません、祖師谷様。遅れてしまいました」

「ごめんね、祖師谷君」


 人を掻き分けてやってきたのはアリシア達だった。


 みんな振袖姿でものすごく可愛い。


「みんなすごく似合ってるよ、とっても可愛い」

「そ、そうですか?ありがとうございます」

「ありがと」


 照れて頬を染める姿も、いつもの何倍も魅力的に見える。


 アリシアやエリーは異国風の顔立ちだけれど、和服である振袖ととてもマッチしていて本当にモデルさんみたいだ。


 由利さんや愛梨さんも当然似合っていて、アリシア達が綺麗と称するなら由利たちは可愛いだろうな。


「祖師谷様の場所が見てすぐにわかりますから集合場所を祖師谷様にすると楽ですね」

「そうだね、だって人だかりの中心にいるのは祖師谷君だもん」


 僕が前世のハチ公のような立ち位置にいるのは、喜んでいいのか微妙なラインだ。


「それじゃあ、行きましょうか」

「うん、そうだね。あ、他のみんなも一緒に行く?」


 と周りにいる女性たちにそう問いかけると、首を縦に振ってくれたりしたのでかなりの大所帯で移動することに成った。


 たぶん、周りの人たちも付いてくると思うから、僕からそう言った方がついてきやすいだろうなと思って提案したアリシア達からは、「まぁ、祖師谷様ですからね」と若干呆れられたような声を出された。


 ワイワイとした大所帯で移動しているといつの間にか人は増えていき、かなりのものになっていた。


 何とか神社の境内についてお参りをすることに成功する。


 お金をお賽銭に入れてお願い事をするのだけれど、何を願おう。


 僕は今でも十分に幸せだから、これ以上何も望むことは無いんだけれどそうだな........周りのみんなやリスナーの人が幸せに暮らせますように。


 そうお願いすることにした。


「みんなは何をお願いしたの?」

「え、私は........皆さんの健康を願いました」

「私もそうかな」

「私もです」

「祖師谷様は何を願ったんですか?」

「僕も、アリシア達やリスナーのみんなが健康で幸せに暮らせますようにって神様にお願いしたよ」

「「「「「「「「「「「うっ、尊い」」」」」」」」」」」」」」


 いつものメンバーは恥ずかしそうに照れて嬉しそうに微笑んでいるけれど、周りにいた人たちは、一斉に胸を抑えて感動したような面持ちをしている。


 その日のtritterのトレンドには、何故か神対応というトレンドで僕が載っていた。


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