第106話
さて、色々あったクリスマスを楽しく過ごし終えて、配信やお家の大掃除などをしているうちにあっという間に新年になってしまうところだった。
今僕は家のリビングで母さん、白金さん、そして梨美と一緒にこたつでゆっくりと暖まりながら年末のテレビ番組を見ていた。
「今年ももうあっという間に終わりだね」
「そうだね、今年は一瞬で過ぎていったね」
しみじみと母さんが呟くのに僕も同意する。
「蒼ちゃんが入院した時はどうなるかと思ったけれど、目が覚めたら記憶を失っていて、優しくなっていて、学校に行き始めるなんて言った時はどうしようかなって思ったけれど」
「そうだね、昔のお兄ちゃんより今のお兄ちゃんの方が断然私は好きだし、愛しているし、結婚したいけれどものすごくアクティブになっちゃったところが良く無いね。女の子を沢山惚れさせてくるし」
ジトーっとした目で僕の事を梨美が見てくるので乾いた笑いを返すしかない。
「それに、お母さんなんて要らないって思えるくらい稼いじゃっているしね。これからさき、死ぬまで余裕なくらいは蒼ちゃん、稼いでるから。もぅ、お母さんの威厳がなくて」
「いいんだよ、母さんが毎日頑張って働いているの分かってるから。それに母さんは僕たちの事を何より考えてくれているでしょ?それがとっても嬉しくて母さんが母さんで良かったなって思うよ」
「うぅ.....蒼ちゃんスキぃ、大好き」
「はいはい、ありがとね。母さん」
母さんがこたつの中へと潜って僕の場所まで来て抱き着いてくるので頭を撫でて落ち着かせてあげる。
「お兄ちゃんが配信を始めてから、少し経って身バレしちゃって護衛に白金さんを雇ったんだよね」
「そうですね、私は蒼様の護衛になることが出来て本当に幸せな半年間でした。これからも私を傍においてください」
「こちらこそ、白金さんとはずっと一緒に居たいですから」
「っ!?そ、それは、どういう意味で....?」
「さぁ?どういう意味なんだろうね」
と僕が意味深に呟くと、悶々とした様子で僕の事を見つめてくる。
白金さんとは、護衛とか関係なく将来的には一緒に居たいけれど今はまだかな。
「それで、夏が始まって旅行に行ったりいろいろしたね」
「まさか、蒼ちゃんと旅行に行ける日が来るなんて思わなかった。すっごくいい思い出になった」
「僕も凄く楽しかったよ。またみんなで一緒に行こうね」
四人で今年の振り返りをしつつ、しみじみとしているともうそろそろ年を越しそうな時間になった。
「今年も、もう終わり。来年も楽しい一年になるといいな」
「なるよ、絶対に。私は蒼ちゃんとこんなに触れ合える、話すことが出来るだけで幸せなんだから」
「お兄ちゃんがいるなら私はどこでだって幸せだし、楽しいよ」
「蒼様といて、辛かった苦しかったことなど一度もありませんでした。毎日が幸せでしたからきっと来年も良い一年になります」
三人が自信ありげにそう呟くので、僕もきっと来年はいい年になるだろうと思える。というかいい年にして見せる。
「ご」
「よん」
「さん」
「に」
「いち」
「「「「あけまして、おめでとうございます」」」」
今年も絶対に良い年にして見せる。
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