第105話

 クリスマス当日、昨日はライブをやってリスナーのみんなの事を楽しませることが出きたと自負しているし、今日は僕が楽しんでもいいよね?


 向かっていたのはアリシア邸。

 

 今日のお昼からみんなでパーティをしようという約束になっていて、予定時間十分前くらいに白金さんの車に乗って梨美と三人でアリシアのお家に着いたわけだけれど....。


「だ、だぁめ、青様、そんなとこ舐めないで。頭おかしくなっちゃう。愛しています、青様」

「私も愛しています、青様。ずぅっとあなたの事だけを愛していますから。だからもっとぉ、もっとしてぇ」


 先に来ていた人たちがイヤホンを耳に突っ込み、ピクピクと床に横たわっていた。


 どういう状態何だこれは。


「祖師谷様、いらっしゃいませ」

「エリー、これはどういう状態?」

「それは、昨日ご自身で発売されましたシチュエーションボイス、ASMRのせいですね。おかげで私も昨日はほとんど眠ることが出来ずにその.........一人で致していました」

「あー、あはは」


 苦笑いをすることしかできない。


 床に転がっているのはいつの間にか由利たちと仲良くなっていた莉々さん、由利、愛梨、アリシア。


 高級ソファーの上でまだ僕が来たことを理解していないのか、胸を弄って「んっ」と艶めかしい声を出しているのは、保健室登校の時に出会って仲良くなった柚乃ちゃん。


 目を逸らしたいがどうしても見てしまう僕をエリーはジィっと見てから、自分の胸を触って僕の方をチラチラと窺うように見てくるのでそっと目を逸らそうとするけれど、やはり見てしまう。


 ふむふむと楽し気に頷いたエリーは次股の方へと手を伸ばしそうになったところで白金さんがストップをかけた。


「エリー様、それ以上は許しません。ずるいです」

「ふふっ」

「女性のそのような姿を見たいのでしたら幾らでも二人っきりの所で見せますので」

「それでは、白金様の方がずるいと思いますが?」

「私は護衛ですので」


 その言葉、あんまり関係ないような気がする。


「あ、そ、祖師谷君、いらっしゃい」


 そこでやっと気づいたのか床に伏したまま由利が声を掛けてくる。


「祖師谷様、こんな状態で言うことではありませんが、いらっしゃいませ」

「そ、そそしがやくん?」


 アリシアと柚乃ちゃんも僕に気づき、愛梨さんも手を挙げて応えてくれる。


 数十分後、やっとまともに話せるくらいに全員なったのでソファへと座る。


「青様、あんなもの出さないでください。私、壊れてしまいます。四六時中あなたの声を聴いていないとおかしくなってしまいそうで」

「そうだよ、青様。私、昨日本当にどうしようもなかったんだから」


 その場にいた全員がうんうんと頷く。


 ちなむと梨美は、僕が帰って寝るころになって僕の部屋にバタバタと駆け込んできて、頬を上気させ興奮した様子で、「私、お兄ちゃんとけっこんしゅる!!」と言ってペロペロと耳を舐め舐めされた。


「みんなが楽しんでくれたみたいで良かった」

「確かに楽しめましたけれど。私たちのように青様本人に会えない人たちはもう凄いでしょうね。頭がおかしくなるほどの興奮を覚えて自慰に耽りまくっているでしょうね」


 そんなことない.........って言えないんだよな。


 実際今さっきだってそうだったし。


「青!!」


 突如扉を開けてドタドタと可愛い足音を鳴らしてきたのはシュガーちゃんだった。


 目にはハートマークが爛々と浮かんでいるんじゃないかってくらいギラギラとしていて、僕目掛けて飛び込んできた。


「昨日のライブ、しゅごかった。私の曲歌ってくれてありがとう」

「シュガーちゃんが作ってくれた曲、すっごく好きだから歌えてよかった」

「んふふ。あ、それとそれと、ASMRとしちゅえーしょんぼいす?もすっごく良くて私、頭すっごくぽわぽわしちゃって、その.........ね?」


 僕の耳に口を寄せて甘くとろけるような言葉でこういうのだ。


「一人でいっぱいシちゃったの」

「そ、そうなんだ」

「うん」


 シュガーちゃんは精一杯僕を抱きしめてすりすりとしてくる。すーはーと匂いを嗅いではさらに興奮して落ち着かないようだ。


 股を膝へと前後へと振って擦り付けて次第に甘い嬌声を上げ始めたところで、流石にエリーと白金さんに止められる。


「なんて羨ましいことしているんですか!!祖師谷様のお膝で自慰行為など!!小さい身長を生かしたその手がありましたか!!私もしてみたいです」

「シュガー様、それ以上はいけません。ずるいです」 


 あれ?さっきもこの流れ見たような?


 少し経ち、興奮した様子のシュガーちゃんをどうにか宥め、その後、やはり少し発情気味の風花ちゃんや莉々さん、未恋さんが合流して、やっとの事でパーティが始められる。


 予定時刻よりはかなり遅れてしまっているけれどまぁ、仕方ない.........のか?


「それじゃあ、今日はクリスマスです!!みんな、沢山楽しもうね!!メリークリスマス」

「「「「「「メリークリスマス」」」」」」


 やっとの事でパーティが始まった。

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