第99話
「コラボ、ですか?」
「そうです、コラボです」
とある休日、事務所で理恵さんと打ち合わせをするために集まっているとそんなことを言われる。
「莉々さんとはしましたけれど、他の方ともぜひしましょう」
「コラボかぁ」
莉々さんとしてみて、コラボは大変だけれど楽しいものだとは知っているからぜひしたいけれど、誰としようか。
「また莉々さんとするのは、違うと思いますし」
「そうですね」
莉々さんとのコラボがつまらないって訳ではない。だが、するなら他の方とコラボしてみたいと思ったのだ。
「青様は、もうこの日本という国では一番の登録者数を誇っていますしね」
「そうですね、ありがたいことに」
配信を始めてまだ半年だというのに、この国一番の登録者数という異例の快挙を成し遂げたわけだけれど、別に僕という人が凄いわけではない。
僕は違う世界から来た人で、女性に忌避感を覚えたりしないし、そもそも男性の数が少なく、女性が男性を欲していたという供給に答えた結果がこの数字だから驕ってはいけないと感じているけれど、素直に嬉しい。
「今、芸能界の方々がこの業界に続々と足を踏み入れてきているわけですが、その中でも今もの勢いに乗っている人気アイドルって知っていますか?」
「あぁ、えっと、
「そうですね、それでその方からコラボをしないかという打診を受けてまして」
「なるほど」
波崎知佳さんとコラボか。
でも、アイドルだから僕のような一般人の人とコラボしてほしくない、男の人とのコラボが嫌だって言う人がいてもおかしくはなさそう。
「まだ、青様に入ってはいませんでしたが青様にはドラマの撮影のオファーが来ていまして、ここで芸能関係の人と繋がりを持ってもいいのではないかと考えているんですけれど」
「ど、ドラマの撮影ですか!?」
「そうです。青様は女性に優しく普通に接してくれるでしょうからもしかしなくても男性俳優より演技が上手いと私は確信しております。男性俳優の人は顔から嫌だという感じが滲み出ていて正直、見ていてもつまらないですが男性というだけで視聴者数が取れていました。ですが、青様がすればそんな男性より遥かによいものが取れるに決まっています」
理恵さんからの期待の籠った目が凄い。
確かに、男性俳優さんが嫌嫌ドラマにでて演技をしているのを見たけれど、僕としては気分が良いものではなかった。
だからこの世界では男性役の女優さんがいるわけだけれど。
「青様はもう少し自分に自信をもって下さい。謙遜のし過ぎは良くないですよ。嫌味になって仕舞いますからね」
「.........わかりました。そのコラボを受けることにします」
「分かりました。その様に話を進めていきますね。ドラマについては、また後日話し合いましょう。青様は配信、それと学校の事もありますから安易に決めてはいけませんから」
「そうですね」
リスナーのみんなに言ったら驚くかな?
それに、僕がドラマに出たらもっといろんな人に見てもらえるし.........これからが楽しみだ。
「それでは、次は記念配信についてですね」
「そうですね、日本一の登録者数になったというのに何もなしっていうのは味気ないですもんね」
本当は十万人、百万人記念、一千万記念とかしたかったけれど登録者数の伸びが半端ではなく、あっという間にここまで来たためする暇がなかったというのが正しいか。
「そうですね、一応Vtuberの時の新衣装と、ほかのそうですね.......ASMR解禁してしまいますか」
「いいんですね?」
「はい」
僕が一度ASMRをして、大問題?になったとき理恵さんからASMR配信をするのを止められていたけれど、今回はめでたいということで、ASMR解禁を許可してくれたみたいだ。
「ですが、配信ではダメです。ASMR作品を出しましょう。それとシチュエーションボイスというものも」
「なるほど。ですが、それではお金がないって人が楽しめませんよ?」
「そうですね、これから生ライブもありますし、ライブ会場で倒れられてもいけませんから、予行練習のような感じで配信上でライブしてみますか?」
「.........いいですね、それ」
その後も理恵さんと色々と話を進めていき、今日の話し合いは終わった。
みんなが喜んでくれるといいな。
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