第95話
「うぅ、今、何時だ?」
時計を見ると朝の七時を指している。もうそろそろ起きなければ。
そう思って体を起こそうとするけれど中々、思うようにいかない。どうしてだろう。それになんだか頭がモヤモヤするし、体温が高いような気がする。
今日は夏休み明けの学校の登校日だから早く起きて学校に行かなきゃ。みんな待っててくれてるだろうから。
無理やりにでも体を起こしてリビングへと向かう。
「おはよー、蒼ちゃん。.........って、蒼ちゃん大丈夫!?足元ふらふらしているよ?」
「大丈夫、大丈夫。おはよー、母さん」
「それに顔も赤いし、絶対に風邪だよ。だめだよ蒼ちゃん。早くベッドに戻って」
「大丈夫、大丈夫だよ母さん。風邪何て引いてないもん」
「もんって、凄く可愛いけれどお母さんは騙されません!!早くベッドに戻って」
「母さんは過保護だなぁ。大丈夫だから」
確かに足元は覚束ないけれど.........ってあれ?
「おはよー、お母さん、お兄ちゃん.........ってお兄ちゃん、大丈夫.....じゃない!?」
咄嗟に梨美が僕の体を支えてくれてどうにか倒れずに済んだ。
「お兄ちゃん、こっちだよー。お部屋戻ろーね」
「蒼ちゃん、行くよー」
二人に捕まって部屋へと連行され、ベッドに寝かされる。
いつの間にか僕の眼は閉じて、眠ってしまった。
*******
「お兄ちゃん、辛そう。出来るなら私が変わってあげたい」
「それは、私もそう思うわ。さて、早く仕事場と学校に休むことを伝えないと」
「お母さん、私も学校休んでお兄ちゃんの隣にいる」
「うーん、ダメって言っても梨美は聞かないもんね」
「絶対一緒に居るから。お兄ちゃんの傍から離れないもん」
「話は聞かせてもらいました。私が今すぐいろいろ買って来ましょう」
いつの間にいたのかそこには白金さんが立っていた。
「ひどい病気とかじゃないよね?」
「多分、大丈夫だわ。すぐに蒼ちゃんが入院していた病院に連絡して家まで来てもらうから大丈夫よ」
お義母さん自身がそう言ってはいるけれど、多分強がりだ。顔が明らかに焦っている。
お兄ちゃんが退院してから初めてこういうことに成った。いつもお兄ちゃんは元気だったから。
「じゃあ、私は買い物に行ってきます。出来るだけ早く帰りますので」
「私は連絡してくるから、梨美は蒼ちゃんの近くにいてあげて」
「うん」
お母さんと白金さんが部屋から出ていく。
私はお兄ちゃんの手を握って、早く良くなりますようにと願った。
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