第93話
「ふぅ…やっと海に入ることができますね」
「そうですね」
みんなが倒れてしまい、起きるまでかなり長い時間を費やしてしまった。
起きた時にはもう昼前になっていて急いで準備して、今海の目の前に立っている。
「それでは祖師谷様、どうぞ」
いやどうぞって言われてもラッシュパーカー脱ぐだけなんだけれどね。
ゆっくりとみんなの反応を見ながら脱いでいく。
昨日見たからか少し耐性がついてきたようだけれど、耐えた二人を含む全員が鼻息を荒くして昂奮している。
ゆっくりとゆっくりと脱いでいき、やっとすべてを脱ぎ終わった。
「脱ぎ終わったよ」
「す、少しそのままいてください。こちらには近づかないようお願いします」
「わ、分かった」
アリシアからの心からの懇願に頷く。
それから約数分後経ってようやく五人は落ち着きを見せ始め呼吸が安定してきた。
「も、もう大丈夫です」
「良かった。じゃあ、早速行こうか」
「は、はい」
海にやっと入ることが出来る。
砂浜を歩くこの感触が気持ちがいい。
膝ぐらいの足首より少し上くらいの位置まで水に浸かったところで、由利の方へと水を飛ばす。
「きゃ!?もぅ、祖師谷君」
「ごめんね」
「私もやり返すから」
と海の定番のようなやり取りをする。
これ、面白いのかといつも思っていたけれど好きな相手とするとものすごく楽しいものだと感じる。
「むぅ、ずるいです。私も混ぜてください」
「私も」
アリシアとエリーがそこに混ざって来て、二対二の水かけバトルが繰り広げられる。勝敗なんてないけれど、これがまた楽しい。
愛梨さんは浮き輪に乗っらゆらと揺られながら僕の方をじぃっと観察している。
白金さんは砂浜でみんなの飲み物とかを準備してくれていて、遠くから僕らを眺めている。
みんなで何かするものはないだろうか?と考えた時にビーチバレーを思い出し、集合して三対三のゲームをすることにした。
実際にやってみると、白金さんが強すぎて白金さんのいるチームが毎回勝ってしまったので僕と白金さんがチームを組んで四対二のゲームを途中からすることになったりいろいろあったけれど総じて楽しかった。
「白金さんすごく強いですね」
「蒼様の護衛ですから」
「いつもありがとうございます。これからも頼らせてもらえますね」
「っ!!その言葉、一生忘れませんから。これからも一生頼ってください」
「ははっ。白金さんが僕を見捨てない限りは頼らせてもらおうかな」
「あなたを見捨てることなど絶対にありませんから」
白金さんは強い意志の籠った瞳で僕を見る。
「もぅ、二人だけの空間を作らないでください」
「私達もいますから。それに祖師谷様?いつでもあなただけのメイドになりますからね?いつでも頼ってください」
「祖師谷君、私の事も目一杯頼って」
「祖師谷君に頼られたい」
白金さんに嫉妬したのか、みんなが頬を膨らませて抗議してくる。
「みんなの事も頼りにしてるから。これからもよろしくね?」
「「うん!!」」
「「はい」」
「私と蒼様だけの空間だったのに..........」
その後、一度休憩をしようとなったのでレジャーシートの上で一度休憩を挟む。この暑さだから熱中症になったりしたら大変だからね。
「みんな、トイレ行ってくるから」
「分かりました」
ラッシュパーカーとスマホを持って、一度トイレに行く。
楽しいな、海に来ると。誘ってくれたアリシアには感謝しかない。
みんなが倒れてしまったこともあったけれどそれも思い出だよなと考えながらトイレに行き用を足してから戻ろうとしたところであることを思い出す。
そう言えば、ショート動画取るの忘れていたと。
昨日、簡単なダンスを覚えたし昨日、今ちょうどラッシュパーカ来ているからまぁ、規制とかには引っかからないでしょう。おへそが見えるくらいだから。
アリシア達の迷惑にならにところでカメラを置いて音楽を流し、軽くダンスをする。
二度か三度して、一番良かったものを少し編集をしてショート動画に投稿する。
著作権関係の事は、前々からこの曲の許可は下りていたし大丈夫でしょう。
「ごめんみんな、遅くなった」
「全然大丈夫ですよ。また休憩も結構しましたし、もう少し遊びましょうか」
「そうですね」
夕暮れ近くになるまで、みんなと海を満喫してシャワーを浴びてから別荘へと直行。
みんな先に風呂へと入っていいといったが男性ファーストですと言われていた仕方が無く僕が先に風呂へと入り、リビングへと戻るとみんな熱心に何かを見ていた。
「みんな、なに見ているんですか?」
「祖師谷君、これ、何時したのかな?」
と見せられたのはショート動画だった。
「えぇーっと、トイレに行った時かな」
「やけに長いなって思ったらそういうことだったんだね」
「むぅ..........なんで生で踊っているところ見せてくれなかったんですか!!」
「そうですよ」
「こんな可愛いダンス見たら、世の女性が死んでしまいます。あぁ、また勝手に..........」
と非難轟轟だ。
「ご、ごめんね。代わりにその動画で我慢して」
「「「むぅ」」」
と言いつつみんな真剣に動画にかじりついている。
まぁ、社会的機能は損なわれないでしょう、多分。大丈夫だよね?ね?
..........きっと大丈夫。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます