第92話
「ん、んぁ」
窓から差し込む光で目を覚ます。
「おはようございます、祖師谷様」
目を開けると、何故かエリーが僕に抱き着いた状態で、顔はお互いの鼻はくっつきそうな程の距離にいる。
アリシアがこういう状態になるのは分からなくはない。
昨日、抱きしめて寝た記憶があったから。
そのアリシアはベッドの下の方に横になって涎を垂らしながら未だに寝ている。
「どうして、この部屋に?」
「それは、一目祖師谷様の寝顔を見たいなと思って部屋に入ったからですね」
「.....それは、分かったけれどどうしてこんなに至近距離?」
「この部屋に入ったらなんとウラヤマけしからんことにアリシア様は祖師谷様に抱かれて眠っているではないですか。私も祖師谷様の抱き枕になりたいと思い、アリシア様には申し訳ないと思いつつも退かして私が代わりに抱き枕になった所存です」
「なるほどね」
それにしても、エリーもアリシアと同じかそれ以上にいい匂いがするし抱き心地がいい。
「凄く気持ちがいいよ」
「そ、祖師谷様。耳元で囁かないでください」
「嫌かな?」
「全然これっぽっちも嫌だとは感じていませんけれど、耳元で囁かれると.....感じてしまいますから」
「昨日、アリシアにもやってあげたからこれで平等だね」
「アリシア様、こんなことをしてもらっていたんですね。羨ましい」
「今やってあげてるでしょ?」
「それもそうですね」
「もっとしよっか?」
「し、してもらえるのでしょうか?」
「うん、良いよ」
目を輝かせながらそう言ってくるので快く頷く。
ASMR配信の参考にもなるしね。
「それじゃあ、何行って欲しいか言って?」
「ひゃう、そ、そうですね。エリー可愛いよって言ってください」
「エリー、可愛いよ」
「ひゃぅぅ。き、きも、ちぃぃ」
頭を撫でながら囁いてあげるともうアへ顔に近い蕩けた顔でピクピクと反応するエリー。
僕の上裸を見ても耐えていて、いつもアリシアを揶揄う余裕がある彼女がこんな顔になってくれているのが嬉しくなってしまいもっとしてあげたくなってしまう。
「エリー、すっごく可愛いよ。もっと可愛い顔みせて欲しいな」
「しょ、しょんにゃ」
「すぅーき、大好き、だよ」
「ひゃう、わ、私もですぅ。私も祖師谷しゃまのことを心からあいしておりましゅ」
「そっか、ありがとね。そんなに好いてくれるならお返ししないと、ね?」
「お、お返し?」
僕は軽く抱きしめていた体をより痛くならない程度に抱きしめて耳元で「愛しているよ、エリー」と囁く。
すると、エリーは体を仰け反らせてビクンビクンと反応した後、気持ちよさそうな顔をして眠ってしまった。
少しやりすぎた感はあった。途中から配信でリスナーを相手をしている時のような感覚で耳元で好きとか恥ずかしいことを言ってしまった。
でも、それがかなり効いたみたいでエリーはノックアウトしてしまった。
「..........祖師谷様。これはどういうことでしょうか?」
「え、えーっと」
そこで、何時から起きていたのか僕の事をじとぉーっと見つめたいるのはアリシアだ。
「あんな羨ましいこと、どうして私にしてくださらなかったのですか?」
「昨日、してあげたでしょ?」
「確かに囁かれて抱きしめられていましたけれど、私は好きだなんて、ましてや愛しているだなんて言われていません。ずるいです。私にもお願いします」
ずいずいと僕に迫って来るので落ち着かせるために背中をポンポンと優しく叩いて落ち着かせてあげる。
「分かったから、それじゃあ、おいで?」
「は、はい」
両手を広げて、アリシアを受け入れベッドに倒れ込む。
「じゃあ、何行って欲しいの?」
「え、えっと。アリシア、綺麗だよって言って欲しいです」
「分かった。アリシア、綺麗だよ」
「っ!?」
アリシアは昨日と同じようにぴくぴくと可愛い反応をしてくれる。エリーだけにしてアリシアにしてあげないのは不公平なので「好きだよ、大好き」も追加で言ってあげると、さき程よりも大きく体を仰け反らせて、だらしない顔を見せ「わたしも大好きでしゅ」と言って意識が飛んでしまう。
「祖師谷君、これは何をしているのかな?」
と今度は、由利が部屋を開けて盗み見るような形でこちらを見ていた。
あれ..........これどこかで見たような感じが..........
その後、アリシアと同じようなことをしてあげてまた倒れるように眠ってしまう。
クイーンサイズのベッドはまだ余裕はあるけれど..........
「祖師谷君、私だけ除け者?」
「愛梨さんも!?」
愛梨さんも同じように僕の部屋にやってききたので、またまたアリシア、由利、エリーと同じように抱きしめて囁いてあげると嬉しそうに倒れて眠ってしまう。
「蒼様?」
「白金さんまで!?」
白金さんまでこの部屋の扉を開けてこっちをじぃっと覗いてくるので、みんなと同じようにしてあげると幸せそうにして眠ってしまう。
クイーンサイズのベッドは何時しか隙間はほとんどなくなるほどになっていた。
なぜこんなことに?
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