第78話

 他の教室にお邪魔するのにも慣れてきた。


 どのクラスに行っても、みんな優しく接してくれるし楽しい。


 お別れするときは、かなり心苦しかったり悲しかったりするけれど。


 さて、今日は保健室登校の生徒との交流だ。保健室の先生ともこれを機に仲良くなれたらなって思う。


 朝、職員室に向かい保険の先生である常陸未恋さんの所へ。


「おはようございます。先生」

「おはよう。祖師谷君。今日はよろしくね」

「よろしくお願いします」

「それで、祖師谷君」

「何でしょう」

「保健室登校している生徒の事なんだけれど、そのこ、極度の恥ずかしがり屋でね。別に祖師谷君を嫌っているわけじゃないから、気にしないでね。祖師谷君が来るって聞いてすごく喜んでたから」

「そうですか。それならゆっくりでいいからその子と会話していきたいですね」


 人それぞれ、理由があるからな。


 他人と話せなかったり、単純に学校が嫌になったり。僕は別にそれを悪いだなんて思わないし、思いたくもない。


「祖師谷君は、やっぱりすごいね」

「どうしてですか?」

「女性相手ここまで優しくできるなんて。それに、ちゃんとその子の事を見ようとしているから」

「そうですか?僕は、僕がやりたいようにしているだけですから」

「そこがすごいよ」


 うんうんと感心するように首を振る先生。


「あ、そう言えば、僕って先生の事なんて呼べばいいですか?常陸先生?未恋先生?」

「えーっと、未恋先生、がいいかな」

「未恋先生、改めてよろしくお願いします」

「う、うん」

 

 頬を染めて照れる先生が可愛い。


「それじゃあ、あの子の所にも行きましょうか。今日はあの子、朝からきているみたいだから」


 保健室に向かい、一度先生がその子の気持ちを落ち着かせてから部屋に入ってもらうということに成った。


 数分後、先生から声がかかり中に入る。


 すると、立っていたのは長く綺麗な黒髪が腰あたりまで伸びていて前髪で目を隠している。


 背は普通くらいで、胸が大きくて、腰はほっそりしていていお尻は大きい。


 近くによると、物凄い甘い匂いがした。


「初めまして、祖師谷蒼です。よろしくね」

「あ、あ、よ、よろしくおねがいします」


 小さい声で詰まりながらも言葉を返してくれる。


「名前はなんていうの?」

「え、っと、釘宮柚乃くぎみやゆので、す」

「良い名前だね」

「そ、そう、ですか?」

「うん」

「柚乃ちゃんって呼んでもいい?苗字で呼んだ方がいいかな?」

「ゆ、柚乃って、呼んで、ほしい、です」

「じゃあ、柚乃ちゃんだね」

「え、えへへ」


 目が前髪で隠れて見えないけれど、口元は笑っているから喜んでくれたんだろうな。


「柚乃ちゃんってゲーム好き?」

「ゲーム、ですか?す、すきです」

「僕さ、良くゲームとかしてるんだけれど」

「し、知ってます。いつも、見させて、もらって、ます」

「ありがと。これからも応援してくれる?」

「は、はい」

「それでね、スマホのゲームなんだけれど、このゲームとかやってるかな?」

「や、やってます」

「一緒に、やらない?あんまりうまくないんだけれど」

「は、はい」


 やるのはバトルロワイヤルのゲームだ。正直、上手くないけれど柚乃ちゃんと楽しめたらいいからね。


 ちらっと未恋先生の顔を見ると、微笑ましそうな顔で僕たちを見ていた。


 早速、ゲームを始めてみると柚乃ちゃんはものすごく上手かった。


 僕がどれだけミスしてもカバーしてくれるし、勝利に導いてくれるのだ。プロゲーマーに成れるんじゃないかってくらい上手い。


「柚乃ちゃん、すごく上手いね」

「そ、そうで、すか?」

「うん。柚乃ちゃんとゲーム出来て僕、すごく楽しい」

「..........っ!?よ、良かったで、す」


 僕が素直にそう言うと可愛い反応をしてくれる柚乃ちゃん。


 一時間ほど、ゲームをしてから一度休憩に入る。


「柚乃さん、良かったね。祖師谷君と遊べて」

「う、うん」


 未恋さんは優しく柚乃さんの頭を撫でる。


 母親と子供みたいだ。未恋さんにはすごく母性があると思う。


「祖師谷君、コーヒー飲む?」

「いいんですか?」

「いいよ。少し待っててね」


 保健室を出て数分後、コーヒーを未恋先生が持ってきてくれる。


「ありがとうございます」

「お礼が出来て偉いね。祖師谷君は」


 僕の頭をゆっくりと撫でてくれる。柚乃さんにしたように。


「嫌だったかな?」

「いえ、全然。頭を撫でてもらう機会なんてそうそうないですから。新鮮ですごくいいです」

「なら良かった」


 その後、三人で世間話に花を咲かせたり、お昼ご飯を食べたりして、午後になり..........。


「あ、そう言えば今日、トランプ持ってきたので三人でしませんか?」

「良いね」

「わ、わかり、ました」


 三人で大富豪とか、七並べ、ババ抜きなどしてみるがどうにも二人が強すぎて僕は全く歯が立たなかった。


「いいです。僕はどうせよわいですから」

「そんなことないよ」

「そ、そ、し、がや君、はと、とても頑張ってる」


 二人が僕の事を励ましてくれるシーンなどもあったが、基本楽しく遊べたので良かった。


 段々と時間も過ぎて行き、帰る時刻となった。


「今日は、ありがとね。柚乃ちゃん」

「う、うん。ありがとう。そ、そしがや、くん」


 柚乃ちゃんの前に手を差し出すと、そぉーっとだがしっかりと握り返してくれる。今ではもう、敬語をなくして話してくれる。


「未恋先生もありがとうございます」

「こちらこそ素敵な一日をありがとうね」

「また、来ますから。絶対」


 柚乃ちゃんと遊ぶのは凄く楽しかったし、物凄い良い匂いがしたんだよね。


 それに未恋さんと話すのも未恋さんが頭を撫でてくれるのもすごく良かったのでまた来ようって思う。


「じゃあ、またね。柚乃ちゃん。未恋先生」

「ま、またね」

「またね、祖師谷君」


 

 ********


「..........格好良かった」

「そうだねぇー」


 私の胸は、物凄い速さで鼓動している。


 だけれど、さっきまでこの手にあった祖師谷君の手のぬくもりが段々と薄くなってきていて悲しい。とても。


「..........祖師谷、君」


 格好良かった。凄かった、私なんかに優しくしてくれる。こんな陰キャの胸がでかいデブにも優しくほほ笑んでくれるし、それに..........


「柚乃ってよんで、もら、えた」


 それに名前を可愛いって言ってもらえた。


 私といて楽しいって言ってくれた。


 嬉しすぎて頭が馬鹿になりそうだった。胸がドキドキして頭がおかしくなりそうだった。


 私は、祖師谷君の事をすき..........いや、多分そんな言葉じゃ表せないくらいの思いがある。


 祖師谷蒼君。そして、青様。


 青様の配信を見た時、私はこんな人現実にはいないと思ったが、実際にいた。それもこんなに身近に。


 祖師谷蒼君。


 愛してます。大好きです。一生あなたの事をしか考えません。私はあなたのためなら何でもするでしょう。

 

 脱げと言われれば脱ぎ、殺せと言われれば迷わず殺すでしょう。死ねと言われたら死にますし、強盗しろと言ったらするでしょう。


 愛しています。


 祖師谷蒼君。


 こんな陰キャでどうしようもない私の王子様。あなたの性奴隷でも何でもいいです。ペットでも、置物でもなんでもいいです。


 私の事を少しでも見てくれていたら嬉しいです。


 愛しています。


 祖師谷蒼君。


 私の匂いを嗅いでくれていましたね。すごく興奮しちゃいました。少しだけ湿ってしまったんです。私のだらしないところが。


 もっと近くにきて幾らでも嗅いでくださいなんて、欲深すぎるでしょうか?


 大好きです。


 愛しています。


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 kanikuiです。


 新作の「自殺しようとしている女の子を助けて溺愛してみたら...........」と「人間不信のクラスメイトの女子を甘やかしたら、逆に溺愛してくるんだけれど」を出します。よろしくお願いします。


 相変わらずこの作品の応援もよろしくお願いします。


 



 

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