第75話
球技大会から、数日経った。
いつも通り、登校してアリシアとエリー、由利と愛梨さんといつも通りのメンバーで話していたときの事。
『えぇー、祖師谷蒼君。祖師谷蒼君。校長室まで来てください』
放送で、急に呼ばれる。
「僕何かしてしまったっけ?」
「蒼様は何も悪いことはしていませんよ」
「というか、男子が学校に来てくれているってだけでありがたいのに説教なんてしないよ。したら、このクラスのみんなが多分、暴動を起こすし」
「暴動は、やりすぎだと思うけれど..........まぁ、とりあえず行ってくるね」
みんなから、見送られて校長室へ。
ここに来るのは護衛をつけようって話をした時以来だったっけ?
ドアをノックして、中から「入っていいですよ」と声がかかったので扉を開けて入る。
「久しぶりです。青..........いや祖師谷蒼様」
「ありがとね、わざわざ来てくれて」
中にいたのは校長先生と木下先生だった。
校長先生の前の席に座ることを指示されたのでそこに座る。
「今日は、どうしたんですか?僕何かしてしまいましたか?」
「いや、祖師谷君は何もしてない..........うーん、しすぎている?のかな」
「しすぎている?」
やはり僕は何かをやらかしてしまっていたみたいだ。
「ごめんなさい。知らず知らずのうちに.............」
「謝らないでください、蒼様。蒼様はなにも悪く無いんです」
「そうだよ、蒼君。謝ってお願いするのは私達側なんだから」
「どういうことですか?」
「実はね、今、学園中で蒼君が不足しているの」
「え?」
僕が不足しているってどういうこと?
「それじゃあ、分かりづらいだろう。つまるところですね、いま学園中の女の子、教師、そして私達との蒼様との関りが少なくて苦情が出ているんだ」
「なるほど?」
詳しく聞いてみると、前々から僕のクラスの人たちだけ僕とかかわりが深くてずるいという苦情が沢山来ていたみたいだけれど、どうやらこの前の球技大会で僕がクラスを応援しているところを見てしまいそれが限界に達して、暴動寸前みたいだ。
まぁ、それと多分というかかなりの確率でこの人の私情も挟まれてはいると思うけれど。
「なるほど大変ですね」
「そこで、私たちは学校全体で、祖師谷君と交流が持てる機会を作ろうではないかと考えたわけなんですが.............」
とそこで話を切ってぼくの方を見てくる。
「良いですよ」
「ありがとうございます。流石蒼様です」
「ですが、まだ具体的な案は決まっておらずこれから蒼様を交えて先生たちを交えて話し合いをしていきたいと思うのですが、放課後、時間は空いてますか?」
「空いてますよ」
「ありがとうございます。では、放課後に会議室で」
そこで校長先生たちと別れてクラスへと戻る。
「どうだったの?祖師谷君」
「いや、怒られはしなかったんだけれど頼まれごとをされちゃって」
「頼まれごと、ですか?」
いつものメンツに先ほど話したことを話す。
「へぇ、そんなことに」
「でも、確かに他のクラスの女子たちが私達に向ける目は嫉妬深い怨嗟が籠った目を最近強く感じますね」
そうだったのか。僕は、そんな目を向けられたことはなくみんな笑顔でこっちを見てくれていたんだけれど。
「確かに、他のクラスの子たちは私達と比べて蒼様と関われる機会は少ないですね」
「どんなイベントをしたらみんな喜んでくれるのかな?」
頭を捻って考えるけれど、答えは出ずそのまま放課後になり、指定されていた会議室へと足を向ける。
「.............って、なんでみんなついてきてるの?」
当たり前のように、由利、愛梨さん、エリー、アリシアはついてきていた。もちろん白金さんも後方にいる。
「だって、気になるんだもん。それに祖師谷君がまた何かしようとしているなら力になりたいなって思って」
うんうんと由利の言葉に頷くほか三方。
「まぁ、いいけれど」
会議室の扉を開けて、入ると校長先生、木下先生、他の先生方が勢ぞろいしていた。
「遅れてしまってすみません」
「大丈夫だよ」
「あ、あと彼女たちも力になりたいみたいで」
「はぁ..........まぁ、いいでしょう。あなた達は祖師谷君と特に親しいみたいようなので」
席に着き議題の話し合いを始める前に、自己紹介から。
「皆さん、僕が祖師谷蒼です。よろしくお願いします」
僕から始まり順番に自己紹介をしていく。その中でも特に印象的だったのは、保険の先生だった。
すごく綺麗で、顔も良し、長くて綺麗な茶髪を結いあげていて色っぽい。
名前は
僕が見ているのが分かったのか手を振ってこたえてくれる。
「祖師谷君?」
「蒼様?」
隣にいるアリシア達にそれがバレてジト目で睨まれる。
「さて、自己紹介も終わったことですし話し合いを開始しましょう」
質より量ということで、沢山のアイディアを出すがなかなかいいものが出ない。
別の角度からアプローチしてみる?
新たに何か行事を生み出すんじゃなくて、いつもの生活に僕がいるようにしてみる。
分かりやすく言うと、別のクラスに一時的に入ってみるとか?
「あの..........この案はどうでしょうか?」
と一度提案してみると、意外と賛成派が多いみたい
だけれど、
「それだと、私と交流がないもん!!」
と校長先生が反対してくる。それと同様に非常勤の先生やクラスを持っていない先生が反対してくる。
「それじゃあ、時間を取って非常勤の先生とかクラスを持っていない先生の担当教科を特別授業という形で受けるというのはどうでしょうか?一対一で」
僕がそう言うと、それならばと賛成してくれる。校長先生も昔は担当の教科を持っていたので、反対はせず賛同してくれる。
「あの、祖師谷蒼君」
とそこで、僕が見ていた保健室の先生がてを上げる。
「それって保健室登校の生徒も当てはまりますか?」
「はい。もちろん」
「ありがとうございます」
と座り直してくれる。
保健室登校。今では別にさほど珍しくないだろう。いろいろな理由があって、そうなっているんだろうし、別に僕は軽蔑するつもりもない。
それに、保健室の先生とも仲良くなれるし。
「さて、それでは大まかなものは決まったので、日程を詰めていくことにしようか」
それから、大体のの日程とかその他もろもろを決めて今日は終わった。
生徒に告知するのはもう少し先になるようだ。
帰り道、いつものメンバーと歩いていると、少しだけ暗い雰囲気が漂っている。
「私、祖師谷君と会えない日が結構続くことに成るんだなぁ」
「それ」
「とてもつらいです」
「胸が張り裂けそうです」
僕が他クラスに一時的だが他クラスに移るということはあまりこの四人と会えなくなることを意味している。
でも、どうして反対しなかったんだろう?
それを聞くと..........
「他クラスの子の気持ちを理解しないとなって」
とそういう由利。
「祖師谷君が当たり前のように学校に来てくれるから、一度離れて大事さを再確認しておこうと思って」
みんなが苦しいそうな顔で頷く。
そういうことだったのか。
「ありがとね、みんな」
「うん」
「ですけれど、帰ってきたときは私達、きっと我慢できないと思いますのでそこはご了承ください」
「私達だけじゃあなくて、クラスのみんながそうだと思うけれど」
みんなが、こうして優しく送り出してくれるんだ。僕も精一杯頑張らないと。
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