第66話
その日、私の世界は変わった。
一人の男性の配信によって、私は変えられてしまったのだ。
青という配信者によって。
初めて見た時は、まだ完全には信じ切れていなかった。だって、そんな優しい男性何ているわけがないと完全にそう思っていたのだから。
私の国では、男性というものは神聖視されており一部の私のような社会的権力を持った家のものにしか男性を見ること、触れること、直接子をなすことを許されていない。
私は、昔から疑問だったのだ。
男性側はその地位に胡坐をかき、女性に対し横暴に振舞う。だけれど女性はその対応をさぞ当たり前だと感じている。
私は、大臣の娘ということもあり相当な権力をもっており男性を見る機会も多かったし、お見合いの話もあったけれどどの男性も魅力的には映らず結婚などする気も起きなかった。
それに、私のお父様が優しくて素敵な人だったということもあるだろう。
だけれど、私はこの青様。名を祖師谷蒼様という人に私は直接会ったこともないのに尋常ではないほどの執着をしてしまっている。
最初、私のメイドであるエリーが青様を進めてきたときは疑心暗鬼だった。
それに違う国の違う言語。エリーは小さい時から他の国の言語を学んでいたため理解できていたが、私は理解できるか分からなかった。
だけれど、青様の配信を見て言語何て理解できなくとも青様が心の底から楽しんでいてリスナーである女性たちを大切にしていることが分かり、興味を持った。
段々と配信にのめり込むようになり、いつの間にか日本語という言語を学ぶようになった。
もともと、自分で言うのもなんだけれど、私の頭はかなりいいほうであり、それに興味があることが重なれば、難しいと言われる日本語もだいぶ理解できて、話せるまでになるには時間はかからなかった。
そして、最近のあの配信。
あのデビュー配信でのお歌で私の心は完全に祖師谷蒼という男性に心酔しきってしまったのだ。
そこからは早かった。
お父様とお母様に日本国に行きたいと心の底からお願いして、青様が通っている高校に留学させてもらえることを勝ち取り、急いで準備を始めた。
あれでもない、これでもないとまるで恋人とのデートの準備をしているようにいろいろな服を検討して、今まで一度もしていなかったメイクもお母様に教わったりもした。
私の青様にお会いしたいという恋焦がれる思いは衰えることはない。
待っていてください、青様。
もうすぐそちらに行きますから。
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