第64話
「青君ってすごぉーく格好いいですけれど、どうしてそんなに格好いいんれすか?」
「そうですか?僕って格好いいですかね」
「そうに決まってるれしょ!!」
社長さんが僕にピシッと指をさして、そう言う。
「あなたのような理想を固めた存在がこの世に存在してるなんてあり得ないと思いましゅ!!」
「はいはい。ありがとうございます」
社長や他のスタッフの皆さんたちも酔いが回ってきたみたいで呂律が回っておらず舌足らずだ。
「社長、酔っていて少し面倒くさいですよ。蒼様も少し迷惑がっているでしょう」
「そんなことないよねー、蒼君」
莉々さんが窘めてくれるけれど、社長は留まることをしらず僕の手を取って自分の頬へと持っていき、すりすりとしだす。
だが、流石にそれは見逃せなかったのか白銀さんが止めに入る。
「ぶぅー!!青君だって嫌がってなかったのに!!」
「ですが、駄目です。決して合意があるとは言えませんので」
「ぶぅー!!」
頬を膨らませて、可愛らしく抗議する社長。
お酒を飲む前の凛とした佇まいは無くなり、子供のように駄々をこねている。
「じゃあ、合意があれば青様に触れてもいいんですね?」
「むっ?」
莉々さんがそう怪しく微笑んで言う。
「青様、私はあなた様の隣に行きたいのですがよろしいですか?」
「うん、いいけれど」
僕が承諾すると、にっこりと微笑んで僕の真横に着く。密着しそうなほど近くて少しだけびっくりしてしまう。
「莉々さん?」
「いいでしょう?しっかりと合意は得ましたよ?」
「そ............青様、宜しいのですか?」
「え?まぁ、うん。別に悪い気はしないし良いかなって思うんだけれど」
「ほら、青様の合意はしっかりと得ていますよ?」
「っ.......」
「それでは、青様.......」
「な、なに?」
震える瞳で、頬を上気させながら僕の瞳をまっすぐに見つめてくる。
「この胸の高鳴りが聞こえていますでしょうか?」
「ちょ、まって」
僕の手を取って自分の胸へ。
つまり自分の小さな体には不釣り合いな実りに実ったたわわを触る。
すごく大きくて柔らかくて今まで触ってきた人たちのものとは結構違う。
「莉々さん、流石にそれはやりすぎです!!」
そう言って白金さんは止めようとするけれど、莉々さんは僕にこう振ってくる。
「青様は嫌ですか?嫌ならこの手を払って胸から手をどけてくださってかまいません。ですが嫌で泣ければそのまま私の胸を揉んだり、摘まんだりしてもよろしいですよ」
「っ.......」
「青様……」
すごく魅惑的な提案だ。
本心では僕は全然嫌がっていないけれど、白金さんのことを思うと振り払わなければと思う。
だから.......
「ごめん、気持ちは嬉しいけれど」
そっと手を胸から離す。
さようなら柔らかい感触。
「青様!!やはり青様は最高です。一生お守りしますね」
白金さんが嬉しさあまり抱きしめてこようと両手を広げる。
が、しかし
「ねぇ、護衛さん?その行動は合意の下で?」
「うっ…」
抱きしめようとしていた両腕はからぶることになり、空気を抱きしめる。
お互いがお互いを見つめあい、火花を散らす。
............あれ?楽しい打ち上げだったはずなんだけれど?
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