第63話

「お疲れさまでしたー!!ありがとうございました」


 今日の配信を手伝ってくださった人達に頭を下げる。


「青様が頭を下げることなんてありませんよ。私たちの方が感謝したいほどなんですから。本当に青様は素晴らしい男性です」


 隣にいる理恵さんからそう言われて少しだけ照れる。


「素晴らしかったぞ!!青君」


 スタジオの扉を開けて社長が走って僕の方へとくる。


「やはり、君はすべての女性の味方だ。天使なんだな」

「褒めすぎです。そんなに言われても何も出ませんからね?」

「おだてるためじゃない。本当にすごい!!」


 社長は興奮しているのか僕の手を取って嬉しそうに微笑んでいる。


「そうだ、青君。打ち上げをしないか?」

「打ち上げですか?良いですよ」

「本当か!?おい、みんな、私の奢りだ。打ち上げに行くぞー!!今すぐ行きつけの高級焼き肉店の予約を取れ」


 社長が上機嫌にそう言って楽しそうに笑う。


 スタッフの皆さんも嬉しそうだし、僕も嬉しい。


 そんな時、


「ここに青様はいらっしゃいますか!!」


 またスタジオの扉を勢いよく開く人がいる。


 見てみると見た事のあるような面影だ。確か.............


「あ、青様!!」


 確かこの人は莉々さんだ。


 デビュー配信が終わったら、この人とコラボをしようかと考えて確か了解を得られたはず。


「青様、本日の配信素晴らしかったです!!」


 興奮したように顔をぐいっと近づけて僕の顔をキラキラした顔で見つめてくる莉々さん。


 やっぱり凄く可愛いな。この子。


「莉々?どうしてここのスタジオに」

「あ、社長。ご無沙汰しています。それはですね、青様の配信をみて興奮が抑えられず直接お会いしたいという思いが止められなかったためです」

「それは確かに分かる。私もこうしてここに来てしまったわけだしな。じゃあ莉々も打ち上げに来るか?」

「え!?良いのですか?私は何もしていませんけれど」

「青君は莉々がいてもいいか?」

「はい。コラボの事も話をしたいのでいてくれると嬉しいなって思います」

「じゃあ、莉々も来ると良い」

「やったー!!青様もありがとうございます」


 思わずドキッとしてしまう魅惑の笑みを浮かべる莉々さん。


 本当に可愛い。


「では、行こうか」

「はい」


 莉々さんと社長は僕の横に並ぶようにして歩く。


 それを見た他のスタッフの人たちや理恵さんも負けじと僕にできるだけ近くに来ようとする。


 僕の乗る車に誰が乗るかで喧嘩のようなことに成りかねなかったけれど護衛の白金さんが仲裁してなんとか事なきを得た。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る