第61話
「はーい、じゃあいったん休憩しましょう」
ついにデビュー配信まであと一日。スタジオを借りて明日のリハーサルをしてみる。
Vtuber化したりその他にもいろいろと。
「お疲れ様です。青様」
「お疲れ様です。理恵さん」
理恵さんが水を差しだしてくれるのでお礼を言って受け取る。
「それにしても、やっぱり青様は凄いですね」
「どうしたんですか?急に」
「だって、こんなにアクティブな男の人いませんよ?それに男性だけじゃなくて女性の配信者よりもリスナーの事を考えているように思えますし」
「かいかぶりすぎですよ。僕はしてあげたいことをしただけです」
「そこが凄いんですよ。それに今だって普通に女の私と接してくれますし」
「それこそあたり前ですよ。だってこんなに僕の事を考えて頑張ってくれている健気な理恵さんにつらく当たるなんておかしいですよ」
「そ、そうですか」
「いつもありがとうございます。理恵さん」
「は、はぃ」
僕がほほ笑むと理恵さんが顔を真っ赤にして頷いてくれる。
そんな会話をしているとふとみんなの視線が僕に集まっているのを感じる。
僕には熱い視線。方や理恵さんには嫉妬の視線のような禍々しい視線。
「皆さんもありがとうございます!!」
「「はぅ!!」」
またお礼を言うと胸を抑えて蹲る人が沢山いる。
「生で見ると、凄まじいね。青君は」
「あ、社長。こんにちわ」
「え?」
右を見るといつの間にか茶髪のウェーブがかかった長髪の凛々しい女性が立っている。
この人が社長?
「は、初めまして。配信者の青と申します」
「立たなくて座ったままでいいよ。青君。それにそんなに畏まらないでくれ。私だって君のファンなのだから」
「そうなのですか?ありがとうございます」
「できれば、敬語を外してくれると」
「そ、それは.............」
相手は僕が所属する企業の社長。
ため口は少ししづらい。
「ムリならいいんだ。私は青君を困らせたくないから。それに急に押しかけちゃったのは私だしね。青君を一目見たくて来てしまった」
「それはありがとうございます。凄く嬉しいです」
こんな社長の人まで見てくれて、ここまで好きでいてくれるなんて。
思わず笑みが零れる。
「うっ.............確かにこれは凄いな」
「何がですか?」
「そ、それは、君の笑みが.............」
もごもごと言い淀んでしまっていて聞こえない。
なんて言ったんだろう。
「ごほん。とにかく、頑張って青君。応援しているわ」
「はい!精一杯やらせて貰います!!」
こんな人からも応援されているんだ。
絶対に成功させなければ。
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