第48話

「......」

「......」

「......」


 愛理さん、由利、そして白金さんが何もしゃべらずただじっとお互いを観察している。


 この三人の仲を良くしようと思ってこの場を設けたけれど、もしかして判断ミスだっただろうか。


「それで、あなたたちは蒼様の何なのですか?」

「私たちは、祖師谷君の友達です。それもかなり深い」

「そう。私たちはかなり深い関係なの。あなたのようなただの護衛と違って」

「ふぅーん、そうですか」


 白金さんの質問に鋭利な返答をする由利と愛梨さん。


 その返答に、ふーぅんとだけ呟くだけの白金さん。


 やっぱり大人なんだろうな。


「ですが、ただの護衛の私は蒼様と一日の間にかなりの時間一緒に居られますから。ただの護衛でもの方がよろしいかもしれませんね。私だったら、学校だけの付き合いじゃ満足できませんから」


 そう笑顔で返す白金さん。


 全然大人じゃなかった。


 なんなら、それより鋭く返しているし、大人げない。


「くっ、ま、まぁ私は祖師谷君と将来結婚するような仲ですから?将来は私の方が多く一緒に居ることができますけれどね」

「そう。私たちは祖師谷君に娶ってもらうから、あなたはお役御免」

「愛想をつかされないか心配ですね。離婚とかされなければいいですけれど。例えば、身近にいる、守ってくれる人とかを愛してしまってあなた方なんて愛している余裕なんてないかもしれませんし」

「妄想は大概にした方がいいと思うけれど?そもそも祖師谷君が愛想をつかすなんてことしないし」

「そう。だよね?祖師谷君」

「う、うん」


 僕が由利と愛梨さんと付き合いたいと思っていたのは本当だけれど、結婚することまで考えてくれていたなんて驚きだ。


「蒼様?あまり軽く結婚の約束などしてはなりませんよ?」

「......はい」


 それは、どっちの世界でもそうだからね。僕も理解はしている。


「まあ、とにかくあなた達と蒼様の関係は分かりました。あなた達とはこれからも関わっていく必要がありそうですね」

「まぁ、そうだね」

「そう」

「ですので、争いは辞めましょう。これからは、仲間、として接しませんか?」

「仲間?」

「そうです。これからも私は蒼様の護衛であり、蒼様の物でありません。ですので、そういうこと、もすることがあると思います」

「......まぁ、最初から祖師谷君を独り占めできる、なんて思ってないしね」

「それはそう。でもできるだけ数は減らしたい。祖師谷君からの愛が減ってしまうから」

「そこで、私です。私は護衛であるので、蒼様のいつも近くにいます。強姦してきそうな奴からももちろん守りますが、それ以外の蒼様にふさわしくない人からも守っていきます。そして、出来るだけ数を減らすのです」

「......なるほど。私たちがいつも一緒に居られるわけではないもんね」


 二人が思案顔をして、考え込む。


 そして、


「分かった、あなたとはこれから仲間。よろしくね、白金さん」

「よろしく」

「よろしくお願いしますね」


 三人が手を取り合った。


 .............あれ?僕が望んでいた仲良くとは違う様な?


 

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