第47話

 校舎の中へ入ると、キャーッと甲高い声が聞こえたり僕の方をじっーっと見てくる人、対照的にちらちらと見てくる人、鼻血を出す人など様々だ。


「蒼様?手など振ってはなりませんよ?」

「うん」


 特に反応はせずに、いつもの教室へと足を運ぶ。


 教室の扉を開けると、みんな一斉にこちらに振り向いて一斉に駆け寄ってくる。


「祖師谷君、大変だったね?」

「大丈夫?変なことされてない?」

「何かあれば、私に言って?」


 そう言って、手を握ろうとしたこの手を防いだのは白金さんだ。


「ちょっと、誰ですか?あなた」

「私は、先日から蒼様の警護官になりました。白金スフィール紗里と言います」

「え!?じゃあ、今まで見たい近づいてお喋りもできないってこと?」

「はい、そのようなことは私がさせません」

「いや、ちょっと待って、白金さん」

「なんでしょう?」

「このクラスの人達にはいままで通りの関係でも良いと思うんだけれど?」

「……今まで通りの関係とは?具体的にお願いします。それを聞いてから判断いたします」

「そうだね。挨拶したりとか、普通におしゃべりしたりとか」

「......まぁ、それくらいならよしとしましょう」


 そんな話をしている時、由利と愛梨が教室へと入ってきて僕を見つける。


「祖師谷君!!」


 二人が一斉に両手を広げてこちらに来て、抱きしめようとしてくるのを直前で防がれる。


「祖師谷君、この人誰?」

「祖師谷君」


 二人が若干怒気を孕んだような瞳で白金さんをみる。


「蒼様?いつもこのようなことをされているのでしょうか?」


 当の白金さんは僕の方へと訝し気な視線を送ってくる。


「えっと、まずこの人は僕の警護官になった白金さん」

「警護官?......あぁ、まああれだけ大きくなったらそうなるよね」


 二人は理解はしたけれど、抱擁を邪魔されたのにはまだ納得はしていないみたいで不満げな瞳で見つめてくる。


「白金さんの質問に答えると、えぇーっと、その、してる?のかな?」

「煮え切りませんね。どうなんですか?」

「しょっちゅうはしていないです」

「ということは、今までには何回かそういうことがあったということですね?」

「......はい」

「他には何かありませんか?」

「......ありません」

「ありますね?」

「......はい」

 

 今までの事や、直近であったカラオケ店でのことを話す。


 見る見るうちに、白金んさんの顔は怒った?というか、勘違いじゃなければものすごい嫉妬していますという顔で僕の事を見つめてくる。


「これからは、私が見ている範囲以外でそういうことは禁止です。それと、やりすぎている場合には流石に止めさせていただきます」

「......はい」


 授業が終わった放課後に由利と愛梨とたくさん話して、白金さんとも仲良くしてもらおう。

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