第45話

「蒼様、朝ですよ。起きてください」

「ん、ぅ」


 なんだろう、真横から声が聞こえる。


 若干くすぐったい。


「もぅ、蒼様は甘えん坊ですね。いいですよ。そのまま今日は一緒に寝てしまいましょうか」

「ん、う、ん」


 僕はまどろみの中優しい声がする方へ、腕をゆっくり伸ばして抱きしめるような形へ。


 なんだろう、ものすごく柔らかくて気持ちがいい。


「やんっ、もう蒼様。本当に甘えん坊なんですから。そうです、そのまま私に抱かれて今日は一緒にこのまま。いえ、今日だけでなくずっとこのままでも私は一向にかまいません」


 ずっと、このまま?それもいいかもしれんない。凄く柔らくて極上で

良い匂いもするし。


「はーい、良い子です。蒼様は私をいか様にしてくださっても構いませんからね。私はあなたの所有物ですから」


 そう、なのかな


「おい、雌猫。私のお兄ちゃんに何をしてるの?」


 そこで、冷たい、地獄の底から這い出てきたような声がしてパッとめが覚める。


 見ると、白金さんが僕の事を抱いているような形、いや、僕が白金さんを抱いている形の方が正しい。


「私は、ただ蒼様にゆっくり眠っていただこうかと思っただけです。妹様」

「お母さんは起こしてきてって頼んだよね」

「はい。ですが、あまりにもあどけなく寝ている蒼様が可愛すぎまして一緒に添い寝したところ蒼様が私を抱きしめてくださったので。そういうことかなと思いまして」

「……お兄ちゃん?」


 じっと、僕の事を光のない瞳でじっと見てくる。


 瞳孔開きっぱなしでちょっと怖いよ、梨美。


「ご、ごめんね。梨美。それに白金さんも」

「私は別にずっとこのままでもよろしいのですが」


 そう言って、抱きしめていた体勢から離れようとするところをぎゅっと抱きしめてくる。


「ダメに決まってるよね?お兄ちゃん?抱きしめるなら愛しの妹を抱きしめてよ」


 そういって、白金さんと僕の間に強引に割り込んで両腕を広げてくる。


 これは、抱きしめないともっと厄介になるな。


 そう思い、そっと抱きしめる。


「んっ、やっぱりお兄ちゃんは私の方がいいみたいだね」

「では、私は後ろから」


 白金さんは僕の後ろに回り込んでそっと抱きしめてくる。


「白金さんは大きい胸がお好きなんですよね」

「え、えっと。はい」

「私、すっごく嬉しいです。これを持っていていいことなんてありませんでしたから。でも、蒼様に喜んでもらえるなら私はいつも隣にいるので開発してくださってもいいんですよ?」

「えっ!?」


 そう囁かれてしまって、僕はドキッとする。


「お兄ちゃん?私はまだ発展中だからそこまでだけれど、大きすぎるのも品がないでしょ?私、ちょうどいい大きさだと思わない?ほら」


 そう言って、僕の手をとって触らせようとしてくる。


 まずいっ


「蒼ちゃん、白金さん、梨美、何してるの?」


 そこで、母さんがきて助かると思ったけれどさらに面倒くさいことなった。


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