第42話 男性警護官
「じゃあ、蒼ちゃん。バレない様に、慎重にね?」
「うん」
母さんと車で一緒に学校へ行く。
校門の前には、数は少ないが何人かまだ人がいた。
先生たち専用の駐車場に車を止めさせてもらい、職員玄関からこっそりと校舎へ入ると、担任の木下先生がこっちに駆け寄ってくる。
「お待ちしておりました」
「すみません、本当に。学校へ迷惑をかける事態になってしまって」
「そんなことはないわ。祖師谷君。強いて言うなら、あなたが格好良すぎるのが問題かしら」
「それは……母さんが生んでくれた顔なので、直すことはしたくないです」
「蒼ちゃん!!」
「はいはい」
「いいなぁ」
母さんは僕を抱きしめ、木下先生が羨ましそうにみる。
「それより、先生。早く案内してください」
「あ、そうね。こちらへ」
木下先生に案内され、校長室につく。
今更になって、緊張してきた。もし、配信を止めろとか言われたらどうしよう。学校はすごく楽しいし、クラスのみんなと、由利さんや愛理さんとも会いたい。だけれど、配信はし続けたい。
その選択を迫られたとき、僕は……
「祖師谷君、大丈夫?」
「え、あぁ、はい」
「大丈夫だよ。あー、でも少しショッキングかもしれないけれど」
「ショッキングって………?」
木下先生は、校長室の扉を開ける。
すると、中にいた人はゆっくりとこちらを向いてそして………
「あぁ、青様!!」
すごい形相で僕の方へ近寄ってきた。
「す、すごい。生青様だ。しゅごい。私、本当に幸せ」
「……え?」
この金髪の如何にもできますと言った感じを出しているこの女の人は誰?
「せ、先生、この人は?」
「その人が、校長先生よ」
「…へ?」
「校長先生は、あなたの大ファンなのよ」
「えぇ!!マジですか」
「本当よ、青様。いえ、祖師谷蒼君。私は、あなたの大ファンなの!」
そう言って、また僕の胸に頬をすりすりとするので、母さんが無理矢理離す。
「校長先生、それで、お話って?」
「あぁ、お母様申し訳ありません。それでは、お二方、お座りください。木下先生は私の横で」
それぞれ、座りやっと話し合う形となる。
…校長先生は、僕の方をみてデレデレとした顔をしているけれど。
「そ、それでですね。もう一度、確認させていただきますが、あなたが青で間違いありませんね?」
「はい。僕が青です」
「祖師谷君、緊張しなくてもいいわ。私はあなたに、配信を止めろ、学校へ来るなとは絶対に言わないわ。それは、神に誓っていえることよ。あなたの配信がなくなったら私生きていけないし、今後、学校に来る楽しみが、毎日の癒しがなくなってしまうもの。そんなの絶対にさせないわ」
「あ、ありがとうございます」
並々ならぬ、熱意を感じる。すごい、絶対にそんなことをさせないという意思が伝わってくる。
「それで、私たちからの提案ですけれど、男性警護官を国から要請するのはどうでしょうか」
「男性警護官、ですか?」
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