第40話

「はーい、みんなこんにちわー。最近配信できてなくてごめんね?」

『こんにちわ』

『こんにちわ、大丈夫だよー。寂しかったけれど』

『まじで、待ってた』

『大好きだぁー!!』

「ごめん、最近忙しくて」


 最近は、文化祭とか密かに進めているデビューについての打ち合わせとかいろいろあって、ここ二、三日、配信を休んでしまっていた。


「あとちょっとでみんなにいい報告とかできると思うから、楽しみにしててね」

『わくわく』

『楽しみすぎる』

『全裸待機しておきますね』

「せめて、服は来て待とうね」


  嬉しいのは分かるけれど、風邪をひかれてしまってはどうしようもない。


「じゃあ、今日は一緒にミリオカートやっていこうかな。もちろん、リスナー参加型だから気軽に入ってきてね。入れなかった人は…….次、頑張ろう!」

『絶対に入る』

『お前らひねりつぶすからな』

『青君をわからせるんだ』

『青君の分からせ、捗る』


 分からせたい人が多数いるが、このゲームは少々自信がある。

 

 大丈夫、前のようには負けない。


 何故なら、これはアイテムも絡む運ゲーだからな。


 ずっとビリとかそんなことはないだろう。


 ………そう思っていた時期が私にもありました。


「ちょ、みんな早すぎ。どういうこと!?」

『青君が困ってる、可愛い』

『食べちゃいたいな(意味深)』

『分からせ配信来た』


 僕より前の人がゴールし、レースが強制的に終了する。


 これが、一回ならまだいいけれど、三回目ともなると流石に笑えない。


「ねぇ、僕のドライビングテクニック悪く無かったよね?」

『うん、全然良かったよ』

『むしろ、うまいと思うよ』

「なのに、なんで、全然勝てないんだー!!」


 みんなにいいところを見せたかったけれど、また前回の大戦闘スマッシュブラザーズのように、分からせられる結果となった。


「僕が、ビリ以外を取ったら、配信終了するね」

『みんな、もっと分からせて、配信を伸ばすんだ』

『あと、何時間後、だろうね』

『最高だ』


 もう、格好悪くてもいいからビリ以外を取りたい!


 試行錯誤を重ねて行き、それにつれて僕のプレイもうまくなっていき、配信開始からに時間経過したところで、やっと十二人中八位を取ることに成功する。


「やったー!!」

『終っちゃったか』

『でも、伝説的配信だったな』

『喜んでる青君可愛い』


 視聴数は四十万人近くいて、ものすごいスピードでコメントが流れていく。


「じゃあ、今日の配信は、これでおしまい。また、次の配信でー」

『ばいばい』

『最高だった』

『しゅごしゅぎた』


 配信を閉じて、tritterを更新する。


 それから、数十分後、理恵さんから電話が来る。


『もしもし、青様でしょうか』

「はい、青です」

『さっきの配信すごくおもしろかったです』

「喜んでもらえて嬉しいです」

『あ、それで、あの絵師さんに確認しましたところ、依頼を引き受けてくださるそうですよ』

「あ、本当ですか?良かったです」


 あの絵師さんとは、前に僕を描いてくれたあの人だ。


 あの人に依頼して、僕はデビュー配信で、Vtuber化もしたいと考え依頼してもらった。


 幅広い層を取り入れたいしね。


『爆速で描き上げて見せると、張り切っていました』

「それは、無理しすぎないよう、お体に気を付けて」

『はい、そう伝えておきます。それでは、また』

「はい。宜しくお願いします」


 通話を切る。


 僕のデビューまであとちょっとだ。



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