第35話
「文化祭を開催します!!」
校内放送され、文化祭の開催宣言がなされる。
「よっし、頑張るぞー」
「頑張る」
隣で、意気込んでいる二人。すっごく和む。
「ちょ、早くみんな定位置についてー!!このクラスになだれ込んでくるよ!」
「え!?」
呆けていると、どたどたと僕たちのクラスまで駆けてくるくる女の人の群れが見える。
「これって......」
「祖師谷君、目当ての人?」
「それしかない」
どうやら、クラスに男の人がいる、それも文化祭でいろんなコスプレをするそれに一緒に写真も撮ると聞いた女の子たちが我先にと来たらしい。
「ほ、本当に男の人がいる!!」
「そ、それにあの衣装。格好良すぎ」
「ほんと、それ!!」
「あ、あのー!!」
もう、クラスの目の前の廊下まで来ていて、ごった返している。
「ちょっと、行ってくるね」
「祖師谷君?」
「列整理してくる」
窓やドアから顔を覗かせていて、僕の方を嬉々とした表情で見つめている人、うっとりとしている人、口元を抑えて泣いている人、がくがくと震えている人など様々だ。
「じゃー、皆さん。ちゃんと並んでくださいね?」
「「「はい!!」」」
すると、一斉に軍隊のようにきれいに並び始める。
「あ、あの!!」
「なにかな?」
一番前にいる中学生くらいの女の子が上目遣いで聞いてくる。
「い、一緒に写真撮ってくれるってほんとですか?」
「うん、写真なら喜んで撮るよ。だから、喧嘩とかしたらダメだからね?」
「「はーい」」
「それじゃあ、頑張って給仕するから、楽しんでくれると嬉しいです」
………ふぅ、これで一旦、大丈夫だろう。
「祖師谷君、さすがだね」
「そんなことは」
「そんなことあるよ。祖師谷君にしかできないもん。思わず、私、きゅんってしちゃった」
「そ、そっか」
照れながら言われると僕も恥ずかしくなってくる。
「それじゃあ、お客さん入れ始めるよ」
「あ、うん。了解」
「いらっしゃいませー」
お客さんが入り始める。
「二名様でよろしいですか?」
「は、はい!!」
さっき、僕に質問してくれた子ともう一人の子だ。
「ご注文が決まりましたら、お声掛けください」
「は、はい」
続々とくるお客さんを捌く。
「祖師谷君、あっちのテーブルよろしくー」
「はーい」
忙しく回り、休憩まではノンストップだった。
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