第34話

「文化祭も明日だねー」

「そうだね」


 時刻は六時半、未だに学校には人がたくさんいて明日の文化祭の準備や雑談をして、この時間を楽しんでいる。


 お祭りなどは準備している時が一番楽しいっていうしな。


「あの......さ、祖師谷君」

「何?」

「明日、ちょうど私たちシフトが同じで、休憩の時間も同じだしさ......その......ね?」

「うん」

「に、にやにやしないで。絶対解ってるでしょ!!祖師谷君の意地悪」

「だって、由利が可愛いから」

「祖師谷君、私も一緒に回りたい」

「ちょ、愛梨」


 そして、何気なく由利が云えなかったことをさらっと言ってしまう愛梨さん。


「愛梨はずるいなぁ。私、恥ずかしくて言えない…」

「私だって、恥ずかしい。けれど、祖師谷君はぐずぐずしていたらとられちゃうから」

「そ、それもそうだね。よし、改めて。......私と一緒に回ってくれない?祖師谷君」

「もちろん。僕も愛梨さんと由利と一緒に回りたかったし」

「ほ、ほんと!?嘘じゃない?」

「うん」

「よしっ!!」

 

 小さくガッツポーズをする由利が可愛い。


「あ、祖師谷君。明後日も文化祭が終わった後に写真撮るんだけれど、今日で準備するの最後だしみんなで撮ろうって話してるんだけれど、どうかな?」

「いいよ、撮ろう」


 クラスの女子が、おずおずと話しかけてくれたので笑顔で返事をする。


 女子って写真撮るの好きだよなぁ。


 すると、嬉しそうにしてみんなの方へ。


「じゃ、いこう。由利。愛梨さん」

「うん。わ、私。祖師谷君の隣がいいな」

「私も」


 三人で集合写真に並ぶ。


「祖師谷君はクラスの真ん中ね?」

「えぇ!?僕が?」

「うん。だって、祖師谷君は私たちのアイドルだし」

「分かった」


 にこにこと嬉しそうなクラスの人たちに腕を掴まれ、連れていかれるが......


「ほら、由利、愛梨さんも」

「え、あ、うん!」

「ありがと、祖師谷君」


 二人が僕の隣に並ぶ。


「じゃあ、みんなー撮るよー」

 

 先生がタイマーをセットする。


 そして、何故か端に並ばず、僕の方へ。


「ちょ、木下先生!?」

「いいじゃない。ほら、写真がもう......」

「先生だけ、ずるい!」

「私も」


 そうしたら、クラスの子たちが我先にと押し寄せ......


 シャッター音が鳴る。


 見てみると、僕の周りだけ以上にぎゅうぎゅう詰めだ。


「ふふっ。このクラスっぽいわね。この写真」

「そうだね」


 みんながうんうんと頷いている。


「みんな、明日から頑張ろうね!!」

「おー!!」


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る