第33話 平和な日常

「はい、それじゃあ。宜しくお願いします。理恵さん」

『任せてください』


 理恵さんを通じて、これからのこと、デビュー後の方針など綿密に話し合った。


 まだまだ話し合うことなどはあるので、もう少しだけ先になるが、リスナーのみんなには楽しみに待っていて欲しい。


『あ、そういえば。青君』

『なんですか?』

『青君がデビューし終わったら、青君の歓迎会みたいなのしようと思っているんだけれど、その......来てくれたりする......?』

「あ、分かりました。行きます」

『ほんと!!良かった。じゃあ、追って後から日時とか連絡するから」

「はーい」

『じゃあ、また』

「はい、よろしくお願いします」


 そこで通話が切れる。

 

 これからが楽しみだ。

 

 さて、今の時刻は四時くらい。


 配信をするには少し早い時間だし......久しぶりに料理でも作って二人を喜ばせようかな。


 エプロンをつけてキッチンに立つ。


「材料はっと......」


 カレーが作れるな。


 梨美はニンジン嫌いとか言っていたので、細かく切って溶かしてしまおう。


 せっせとカレーを作る事三十分程度で作り終わる。


「お兄ちゃん、ただいまー」

「おかえり、梨美」

「ぎゅー!!」


 目一杯抱きしめてくるのでこっちも抱きしめ返す。


「梨美は甘えん坊だな」

「そうだよ。梨美はお兄ちゃんにだけ甘えん坊なの」


 そういって一層抱きしめてくる。


「あ、この匂い。カレーだね。お兄ちゃんが作ってくれたの?」

「うん」

「いっぱい食べるね!!」

「うん、そうしてくれると嬉しいよ」


 僕が今日は学校へも行かず、家にいる日だったので梨美は機嫌がいい。

 

 学校へ行く日は決まって機嫌が悪くなるけれど。


 梨美と一緒にお菓子を食べたり、リビングで一緒にテレビを見ていると


「ただいまー」

「おかえり、お母さん」

「母さんおかえり」

「うん、ただいまって、ずるい。梨美だけ。お母さんも一緒に蒼ちゃんとお菓子食べる!!」

「はいはい」


 母さんは僕の隣にくっついて座る。


 それに対抗するようにより梨美が体を寄せてくる。


「もうちょっとしたら、ご飯食べよっか」

「カレーの匂いがする。蒼ちゃんが、作ってくれたの?」

「うん」

「蒼ちゃん、偉い。大好き」


 抱きしめて、頬をすりすりしてくる。


「うぅ、私も」


 もう片方の頬も梨美がすりすりしてくる。


 最近は、文化祭、配信、デビュー準備といろいろ時間が取れなかったから家族との交流の機会が減っていたので、嬉しい。


 これからも家族を大事にしていきたいと、そう思った。


 


 

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