第29話

「じゃ、じゃあ。祖師谷君。この服着てきてくれないかな?」

「わかったよ」


 クラスメイトから、いろいろな服を持たされ別室で着替えることになる。


 どうやら、文化祭で着る服が完成したらしい。


 明らかに、男の僕が着るものではないスカートとかあるけれど、他の物を着よう。


 これ、どうやって着るんだ?


 こんな、感じかな?こうかな?


「こんな、感じか」


 鏡の前で一周して、確認する。


「ね、ねぇ、もう開けてもいいかな?祖師谷君」

「うん。大丈夫だよ」


 恐る恐る、服飾部の子たちと由利さんと愛梨さんが入ってくる。


「どう、かな?」

「っ!!!祖師谷君、さいこう......」

「格好いいぃ」

「しゅき」


 どうやら、満足してくれたみたい。


「しゃ、写真撮ってもいいかな?」

「いいよー、でもネットには載せないでね」

「はーい」


 女子たちが次々に、写真を撮っていく。


「待ち受け画面に設定していい?」

「いいよ」

「あ、私もしよ」

「じゃ、じゃあ、次、この服着てくれない?」


 そういって渡されたのは、猫耳とメイド服。


「こ、これは……」

「着てくれませんか?」


 そんな上目遣いで言われても......僕男だし......。


「………」

「うぅ......分かった、分かりました。着ます」

「やったー!!」

「祖師谷君、まじ最高すぎ」

「しゅき」


 いったん女子には、外へと出てもらい、メイド服と対峙する。


 ……ほんとに着るのか、これを。


 うだうだ言っててもしょうがないので着替えを始める。


 ここは、こうかな?これで......いいのか?


 格闘すること、数十分。


 鏡の前に立つ。......が、似合って

いるのか?これは。


「一応、用意はできましたけれど......」

「じゃ、じゃあ入るね」


 おずおずと入ってくる女子たち。そして………。


「......」

「........................................................」

「………」


 みんな無言で僕の事を見つめる。


 ほ、ほら、やっぱりメイド服は女の子が着るものなんだって。


「や、やっぱりメイド服は無......」

「......か、かわ、可愛いい!!!!」

「可愛すぎ」

「萌えすぎて燃える」

「しゅき」


 そこから、写真を撮られツーショットも取り、最後に全員でまた写真を撮る。


「ふ、ふふっ。最高」

「うふふ」

 

 写真をみて恍惚とした笑みを浮かべている女子たち。


 少し怖いけれど、喜んでくれたのなら良かった。


 写真かぁ……そうだ。


「あの......文化祭でもこれしませんか?」

「これって?」

「来てくれた人と一緒に写真を撮るんです」

「………それ、いいね!!最高」

「そんなことしたら、稼ぎまくれちゃう」


 というわけで、写真を撮ることも決まった。


 文化祭、楽しみ。




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