第26話
「文化祭?」
「うん、もうすぐ文化祭の季節だからどんなことするんだろうって」
「文化祭かぁ」
前世では、メイドカフェとか焼きそばとたこ焼きとかお化け屋敷とかしていたけれど、こっちの世界だとどうなんだろう。
由利さんたちと雑談をしていると、木下先生が教室へ入ってくる。
「おはようございます、皆さん」
「おはよーございます」
「じゃ、出席とりまーす」
全員分の出席を取り終わりこんなことを言う。
「一時間目の授業は、私担当だし、このクラスは進みが早いから文化祭について話し合っちゃおうか」
「やったー!!ユルちゃんサイコー」
「木下先生でしょ?もぅ。じゃあ、意見のある人ー」
「お化け屋敷とかは?」
「えー、王道過ぎてつまんない」
「じゃー......」
とみんないろんな意見を出すがどれもありきたりなのか、決まらない。
そんなとき、おずおずと一人の女の子が手をあげる。
「私たちのというか、この学校で唯一の存在の祖師谷君を主軸とした出店をすればいいんじゃないかな」
「た、確かにそうすれば絶対にみんな来てくれるし話題性もあると思うけれど......」
そういって、一斉に僕の方へ視線が向く。
「僕は、別に大丈夫ですよ。みんなと楽しい思い出を作ることができれば」
「ほ、本当にいいの?」
「はい、大丈夫ですよ」
「やったー!!」
クラスのみんなが喜んでくれて良かった。
「じゃ、祖師谷君を主体とした店をだすってことで決定したけれど、具体的には何をするの?」
そこからが、より大変だった。
みんなが僕にやらせたいことが多すぎてなかなか決まらない。
「劇を仮にするとして王子様役を、祖師谷君がやるとするのなら、お姫様役は誰がやるのよ!!」
「それは立案者の私でしょ?」
「はぁ?ふざけないでくれない?」
「ぶっ殺しますよ?」
まぁ、こんな感じで殺伐としてしまい、決まるものも決まらない。
「あ、あの......喫茶店とかはどうでしょうか?」
「喫茶店?」
「祖師谷君にウエイトレスとしてもらって。その......燕尾服とか、いろいろコスプレしてもらえばいいんじゃないかなぁって。もちろん、私たちもフロアに回って」
みんなは一瞬無言になり......
「それだー!!!」
「そ、祖師谷君の燕尾服姿、萌える!」
「いや、猫耳とかつけてもらって、逆にメイド......とかも」
「いい......すごくそそる」
「服飾部のちからが試される時が来たか......」
「あ、で、でもその前に」
そう言って、みんあが一斉にこっちをむく。
「もちろん、いいですよ。最高の文化祭にしましょう」
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