第22話
さて、今日はこれからを決める運命の日でもある。
なぜなら、企業の人とのはなしあいがあるからだ。
「じゃあ、行ってくるね」
「行ってらっしゃい。蒼ちゃん」
とある高級焼き肉店の前で降ろしてもらい、待ち合わせ場所に向かう。
そこには、すらっとした体格の如何にも仕事ができますといった感じの女の人が立っていた。
連絡を取り合った感じあの人だと思うんだけれど。
「あ、あの」
「…………はっ!?目の前に天使が!?」
「おーい」
「も、申し訳ございません。あなたが青さんですか?」
「はい、そうですけれど」
「や、やっぱり。青様恰好よすぎぃ」
なんだろう、想像していたのと違う。
連絡を取り合っていたときは、凄く丁寧でいかにも堅物そうだなって感じだったんだけれど。
「じゃあ、話は中で。個室を取っているので。あ、それと私の名前は森永理恵です」
「森永理恵さんですね。分かりました」
言われるがままに、連れられ個室に入る。
「何でも頼んでいいですよ?」
「あの......僕、こういうところ初めてで。緊張しちゃって」
「あ、それは申し訳ありません。こちら側の配慮が足りなかったですね」
「いえ、そういうことじゃなくて。何を頼んだらいいか分からなくて」
「あ、じゃあ、それでは私が頼んでしまいますね。嫌いな部位とか物とかありますか」
「特にありません」
「じゃあ......」
まずいなぁ、前世でもこんな高そうなところ行ったことないし、今世でも僕が記憶している限りは行ったことないからなぁ。
てきぱきと頼んでくれて本当に感謝しかない。
食べ始めて、ある程度の世間話をしてから本題に入った。
「それで、青さん。これからも配信を続けていくんですよね?」
「はい。そのつもりです」
「そもそもなぜ、配信を?」
「......暇だったからっていう理由もありますが......僕、この世界っておかしいって思っていて」
「……おかしいというのは?」
「生まれた時からの優劣。ただ男性だからって優遇されている。女性は頑張っているのに何も男性は返せていない。男性がしている配信を見たんですけれど、どうにもお金をもらっても当然という人がほとんどで。中にはリスなーに向かって暴言を吐く人もいます」
「…………」
「そんなのおかしいなって。だから、僕は女性に、リスナーに親身な配信者になろうって。できるだけ還元しようって思ってて」
「…………」
「まぁ、話は逸れてしまいましたが。つまり、僕は楽しい配信をしたいんです」
「………………………青さん」
「え、は、はい」
「うぐっ。ひっく。うぇぇん。なんで、いいごなのぉぉ」
「ちょ、泣かないでください。これ、ハンカチです」
「ありがとうございますぅ!!」
理恵さんが泣き止むまでまってから話を再開した。
「青さん!!単刀直入に言います」
「はい」
「事務所に入りませんか?私は、あなたとお仕事がしたい!!できるだけ制限はしません。あなたのしたいように私がして見せます」
真剣な瞳だった。
嘘何てついてない、純粋な瞳。
答えないとだよな。
「正直まだ、決めかねていますが......」
「......はい」
「僕は、理恵さんを信じます」
「え!?それって......」
「お願いします!!」
腰を九十度に折る。
「任せてください!!」
ここから、理恵さんとの配信者活動が始まった。
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