第16話
「あ、祖師谷君、いろいろと大変だったでしょ?」
「そうでもないよ。みんな優しくしてくれたから」
「そっか」
そう言ったのは、胸を押し当ててきた金髪の女子高生。
あの後、この子は小さく折った手紙で教室を指定してきていまこの状態になった。
「やっぱり、見れば見るだけ.........」
そう言って、僕の顔をじっと見る。
「えっと、なんですか?」
「あー、ごめんね、じっと見て。あの.........さ」
「なんでしょうか?」
一度大きく深呼吸をして、決心をした面持ちで僕の瞳を見つめる。
「うち、回りくどいのあんまり好きじゃないから聞いちゃうけれど」
「うん」
「祖師谷君って.........青君でしょ?」
「っ!?な、なんのこと?」
まじか、ばれた。
「しらばっくれても、だめだよ?だって、声とか、顔の骨格とかいろいろ似すぎだもん。それに、蒼君の読み方変えると青君だし」
「..........はぁ。ばれてしまったのならしょうがないな。そうだよ、青だよ」
「やっぱり!!きゃー!あ、あの、もっと近くによってもいいですか?え、あ、でも青君の隣になんて言ったらうち、不味いかも。実際に、青君だって分かるとすごいドキドキするー!!顔格好良すぎる、実際の青君も性格良かったししゅごしゅぎ」
急に、頬を真っ赤に染めて一人で悶え始めてしまった。
「あの、さ」
「なんですか?」
「君の名前ってなに?」
「あ、まだ、自分の名前言ってなかった。うちの名前は、冴島由利、よろしくお願いします」
「よろしくね、冴島さん」
「あ、え、えっと..........冴島、じゃなくて由利って呼んでくれませんか?」
「え、いいけれど。よろしくね、由利」
「きゃー!!!もう、死んでもいい」
どうやら、この子はトリップ癖があるみたいだ。
「由利、僕が青ってこと皆には内緒ね?」
「はい。死んでも黙っておきます。でも..........うち以外にも多分、気付く人は結構いると思いますよ?」
「そうなのか..........」
でも、青だとばれてもあんまりデメリットがないから別にいいか。
「あ、それと、由利。敬語やめて?さっきみたいに普通に話してくれると嬉しいな。今は、青じゃなくて蒼だから」
「あ、は..........そうだよね。ごめん。改めてよろしくね。祖師谷君」
「うん」
「え、えへへ。うちみたいなブスと喋ってくれるなんて祖師谷君は優しすぎる」
「由利さんは、普通に美人じゃないですか?」
「え、あ、そ、そうかな?ありがとう」
このギャル、照れたかおが可愛すぎるんだが。
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