第12話 謝罪

「ぜっったいだめ!!それにお母さんずるい!」

「いいでしょー」


 話を聞いた梨美は、怒り心頭の様子で詰め寄ってきた。


「梨美にも、キスしてあげるから学校に行かせてくれないかな?」

「うっ..........してほしいけれどぉ。うぅ.........」


 してほしいけれど、学校には行って欲しくない気持ちが葛藤して、凄い難しい顔になってなってる。


「.........週三回だけって約束してくれる?」

「うん」

「じゃあ、分かった。学校、行ってもいいよ。だから、んっ」

「はいはい」

 

 唇を突き出してくるので、そっと軽く合わせる。


「うへへ、お兄ちゃん大好き。もっと、もっとしよ?」

「しょうがないな、少しだけだよ」

「やった!」

「ずるい!私も!!」


 梨美と母さんに抱きしめられ、イチャイチャすること数十分経って、やっと解放された。


 さて、じゃあ今日も配信しますか。


「みんなー、こんにちわ」

『こんにちはー』

『こんにちわ」

『会いたかったよぉー』

『青君、しゅきぃ』

「はいはい、ありがと」


配信開始直後にも関わらず、2万人近くの人が見ている。


『青君、すごい人気になったよねー』

『当たり前だろ。青君だぞ』

『むしろ登録者数足りない。もっといて当然』

「そうなんだよね。寝て起きたら、すごい騒ぎになってて驚いちゃった。みんな、ありがとね」

『当然だよ!!』

『青君なら、登録者1億人、いきそう』

『ありえる』

「一億人かぁ、それだけ大きくなれたらいいなぁ」

『お姉さんに任せて』

『絶対に行けるよ!!』

「ありがとね」


 僕がそう言って微笑むと、コメント欄が加速して、可愛いとか、付き合いたい、結婚したい、とかまだ目で追える範囲ではそんなコメントが多い。


 そんなコメントの中で数コメント、謝罪のコメントが見えた。


『昨日はすみませんでした、荒らしはもうしません』

『昨日はすみませんでした』

「怒ってないから大丈夫だよ。これから配信応援してくれればいいから。応援してくれるかな?リスナーになってくれるかな?」

『なります!!』

『ならせてください』

『ずっと推します!!』


またもコメント欄が加速して、コメントを追えないくらいになってしまう。


 配信を見ている人たちは十万人を超えていた。

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