第11話
「ねぇ、母さん」
「何?」
「僕って高校に入学してるの?」
「...........し、してないわよ」
目を泳がしまくって、動揺しているのがバレバレだ。
「ほんと?」
「ほ、ほんとうだよ?」
「嘘ついてない?」
「つ、ついてないもん」
「ついてたら、嫌いになっちゃうかもなぁー」
「っ!?え、あの、その..........入学してる!!嘘ついてましたぁごめんなさい」
「はいはい、よしよし」
頭を撫でると嬉しそうに身をよじって、まるでさっきの涙が嘘のようだ。
「でも、蒼ちゃんも悪いんだよ?いったら、どうせ、行きたいとか言い出すでしょ?」
「う、うん」
「ほらぁ!もぅ!!」
母さんが胸をぽかぽかと可愛い擬音が付きそうな弱さでたたいてくる。
母さんが落ち着いてから聞くと、僕は学校には在学しているという体みたいだ。男の人が入学すると、それだけで倍率が上がるとかいうふざけた世界なのでどうやら形だけの在籍ということになっているらしい。
実際に行っている人はあんまりいないそうだ。
行きたくないっていう人や、家族が行かせてくれないという人もいるという。
「ちょっと、行くだけだから」
「ちょっとってどのくらい?」
「週四?」
「ほとんど毎日!!だめ、絶対」
「じゃあ、週3回?」
「ダメだもん!!」
頬を膨らませて必死の抵抗をしてくる母さん。
「週三回は行きたいなぁー」
「うっ、そんな甘えた声だしても行かせてあげないもん。梨美だって絶対そういうよ?」
「お願い、母さん。なんでもしてあげるから」
「..........なんでもっていった?」
「うん」
「じゃあ、学校行かないで!!」
「それじゃあ、交渉にならないよ」
「うぅ、蒼ちゃんひどい!!」
「分かった、これでいい?」
僕はそっと母さんのおでこにキスをした。
すると、一瞬固まり、何が起こったかを理解するとぼんっと言う音をたてそうなほど顔が真っ赤になって僕の顔を横目で伺う。
「そ、蒼ちゃん。お、おでこじゃなくて、ここにしてくれたら考えるんだけれどなぁ」
そう言って、瑞々しい唇を指さす。
「ここに、して?」
「..........はぁ、分かったよ」
僕は、軽く唇を合わせる。
「これで、いい?」
「う、うん。しょうがないなぁ、蒼ちゃん。週三回ね?」
「ありがと、母さん」
「えへへ、蒼ちゃんが喜んでくれて嬉しいよ」
.........っ!?
急に、背中がぞくっとしたので後ろを振り向くと..........
「お兄ちゃん?説明して、ね?」
嫉妬をしていますと、顔に書いてあるんじゃないかと思ってしまうくらいの怒り顔の梨美がいた。
どうも、長くなりそうだ。
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