第34話 サタンの正体(^^)ノ

上社本宮の拝殿で参拝を済ませて、夫が、境内にある江戸時代の名力士、雷電為右衛門の像の前で記念写真を撮ってくれた。


その後、夫は、聖書に登場する悪魔は、ヤハウェに取り込まれた、前時代の神ですよって話しは、前にしたと思うけど、覚えているかな、と私に聞いて来たので、私は、黙って頷いた。


それを見た夫は続けて、だとしたら、このミシャクジと呼ばれる蛇神こそが、聖書に登場する最も古い神だよ。


だって、この蛇は、創世記に登場する、アダムとイヴを唆(そそのか)して、知恵の実を食べさせたと言う、あの呪われた蛇だから。


武甕槌神(たけみかづち)と建御名方神(たけみなかた)は、ミカエルとルシエルの投影だと言う発想は、裕ちゃんのものだよね。


もし、そうだとしたら、このミシャクジ神は、サタンと言う事になるよね。


出雲から敗走したとされる建御名方神(たけみなかた)は、素戔嗚尊(すさのお)の神格を分割した際に、最後まで残った素戔嗚尊(すさのお)を構成する上で最も重要な要素と考えられるよね。


つまり素戔嗚尊(すさのお)は、この要素を持っていたからこそ、高天原(たかまがはら)を追放されたんだと思う、と言った。


私が、その要素とは何かと聞いてみると、夫は、この神は、祟る、と答えた。


ミシャクジは、柱や笹や石棒へと宿る事を考えれば、この神は、天から降りて来ている事が分かるよね。


なので、ミシャクジは男性器を象徴とする、最も原初的な陽神なんだ。


男性はさ、頭と股間に、二つの意思を持つと言われてるんだけど、恐らく、こうした原初的な男性神って、繁栄や生命力の象徴と共に、男性の欲求不満に伴う、破壊衝動や支配欲と言った暴力性の象徴でもあるんだと思うんだよね。


実は、諏訪信仰には、そのミシャクジを狂喜させると言う来訪神がいて、その神の名はソソウ神と言うんだ。


ソソウ神は、女性の陰部であるソソを象徴としていて、大地からやって来る、最も原初的な地母神なんだけど、この二柱は、動物犠牲を要求する神なんだよ。


蛙狩神事(かわずがりしんじ)は二匹の蛙を贄にするんだから、蛇神であるミシャクジ神とソソウ神に対して蛙を捧げているんだろうね。


蛇の好物は蛙だから、と言う言葉を受け、じゃあ贄を捧げないとどうなるの?と私が尋ねると、夫は、この神は、祀り方を間違えると祟るよ。


崇神天皇を大いに悩ませた、蛇神の神威を侮らない方が良いだろうね。


もしも、この神が聖書に登場する呪われた蛇であるなら、その影響力は世界規模になるから、それこそ、世界規模で祟るんじゃないの、と言った。


それからしばらくして私達は、諏訪大社の下社へと向かう為、車へと乗り込んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る