第33話 ミシャクジ様(^^)ノ

諏訪大社は諏訪湖の南側の前宮と上社本宮を合わせて上社とし、諏訪湖を挟んで北側の春宮と秋宮を合わせて下社とする。


今日はせっかくなので、諏訪大社四宮を全て回る事にした。


前宮は前宮は、諏訪大明神が最初に居を構えた地として知られており、四方を囲む、御柱の四本が確認出来た。


前宮を流れる水は綺麗で、一口頂いてみた。


ちなみに、出雲と同様に諏訪も、10月を神在月と言うらしい。


理由は、諏訪湖には巨大な龍神がおり、余りに巨大なので、尾は諏訪に残り、頭だけが出雲に行くからであると言う。


私は、それを聞いて、そんなに大きいなら、諏訪に閉じ込めておく意味ないじゃん、と思った。


諏訪大社の上社本宮は、前宮から、そんなに離れていないので、車だと直ぐに到着した。


諏訪大社は、幣拝殿と片拝殿のみで本殿を持たない、諏訪造りという独持の様式であるが、これは、木や山と言った自然の中に神が宿ると言う、神社成立以前に遡る、非常に古い信仰の形態であると言う。


上社本宮の空気感は、張り詰めた弓の鉉(つる)のようで、凛としていて、大変気持ちが良い。


諏訪大社の祭神は、建御名方神(たけみなかた)だけれど、この神格は後から大和政権によって押し付けられたものだと、僕は考えているんだ、と夫は言った。


この神社の本当の祭神は、ミシャクジと呼ばれる、蛇神だよ。


ミシャクジ神とは、諏訪を震源地とする民間宗教の神で、諏訪大社の神官長である守屋氏が奉じる神である。


元々、諏訪大社は、建御名方神(たけみなかた)神の後裔、もしくはその御正体とされる諏訪氏が大祝(おおほうり)を務め、また諏訪の土着神である洩矢神(もれやしん)の後裔である守矢氏が神官長として、祭祀を執り仕切ると言う二重構造になっている。


しかし、ミシャクジ神を降ろす事が出来るのは、神官長である守矢氏のみで、守矢氏は、出雲から建御名方神(たけみなかた)が諏訪に侵攻して来る以前から、守屋山の神を奉じた氏族であったと言う。


夫は、ミシャクジってさ、どうにも語源の由来がはっきりしなくて、杓子(しゃくし)とか、杓文字(しゃもじ)とか、柄杓(ひしゃく)とか、おたまじゃくしなんかの、何処かしら、蛇を連想させるイメージの元となった言葉なんじゃないかと、僕は思うんだよね、と言った。


ミシャクジって言葉は、ヘブライ語で、ミイサクチ、つまり「イサク由来の」と言った意味になるとの説を、前に聞いた事があるよ。


けど、そう考えるとさ、諏訪大社の神官長である守矢氏って、古代イスラエルの祭祀を司る一族だったと言う結論になるよね。

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