第19話 出雲大社はバベルの塔!?(^^)ノ
ホテルで、簡単な食事を済ませて、早朝の出雲大社へと向かう。
私はと言えば、昨日の居酒屋での肴を思い返していた。
魚はどれも絶品で、特にイカの一夜干しを焼いたものには驚いた。
イカをちょっと干して焼いただけのものが、何故、こんなにも美味いのか。
毎日、こんな美味しいイカが食べられるなんて、出雲の人達は、本当に幸せ者だと、心の底から思ったが、多分、出雲の人達も毎日は食べないだろう。
出雲には、数年前に女友達と二人で来た事がある。
私達も、もう良い歳なんだから、やはり結婚したいと思ったのだ。
その後、私は、今の夫と出会い、とんとん拍子に縁談が決まり、数ヶ月して結婚する事になった。
今回は、そのお礼参りも兼ねて出雲大社にやって来たのだ。
出雲大社の縁結びの霊験はあらたかでしたぞ、友達はまだ独身だけどな。
しかし、早朝の神社の雰囲気は、凛としており最高だな。
出雲大社の大鳥居を潜ると、参道が少し下がるのは、かつて奈良の大仏殿よりも大きかったと言う大社を仰ぎ見るように、そうしてあるのかな、と思った。
出雲大社は、その昔、本殿の高さは何と四十八メートルに届く、超高層建築物であったらしい。
出雲大社を築いたのは、大国主神(おおくにぬし)の祟りを恐れた大和政権であった筈だが、もしかしたら、その理由とは別に、聖書に記されたバベルの塔を模したのかも知れないね、と夫が言った。
夫曰く、バベルの塔を作ったのは、ノアの孫にあたるニムロデと言う人物が中心となって行ったが、このニムロデは、嵐と慈雨の神であるバアル神の崇拝者であったらしい。
出雲大社は、大国主神(おおくにぬし)を主宰神としているが、その実、出雲大社を中心とする出雲信仰の根幹は素戔嗚尊(すさのお)なんじゃないかな、と夫は語った。
しかし、出雲大社の注連縄は、何故にこんなに巨大なのだろう。
私が、そう思っていると、おもむろに夫はスマホを取り出して、何やら打ち込んでいた。
そうして見せて来たのが、なんと蛇の交尾の画像だった。
ぎゃあああ、、、。
なんちゅうもんを見せてくれたんや、なんちゅうもんを…。
私は蛇が苦手なんだ。
注連縄って蛇の交尾を表しているんだって、と夫は涼しい顔をして言う。
写真を見る限り、確かにそうかも知れないが、見せる時には、一言そう言ってくれ、と私は思った。
歩きながら、夫は出雲大社の祭神である大国主神(おおくにぬし)は、出雲の神々の集合体なんだけど、一柱だけ天津神がいるんだよ、と言った。
その神は、天穂日命(あめのほひ)と言う天照大神と素戔嗚尊の間に産まれた第二子で、歴(れっき)とした天神なんだけど、この神様は高天原(たかまがはら)から、葦原中国(あしはらのなかつくに)を平定するようにと命じられるも、大国主神(おおくにぬし)に心酔してしまい、結局、地上に住み着いちゃったんだよね。
この神は出雲国造や、土師(はじ)氏らの祖神となったと言うよ。
だから、出雲国造であり、この出雲大社の宮司でもある千家家は、この神様の子孫とされてるんだよね。
夫が、そう言うものだから、私は思わず、天照大神(あまてらす)と素戔嗚尊(すさのお)の子孫って事は、天皇家に匹敵する血筋じゃない、と言うと、まあ出雲の現人神(あらひとがみ)だよね、と夫は答えた。
天穂日命(あめのほひ)が地上にやって来た後、今度は、高天原から国譲りの使者として武甕槌神(たけみかづち)がやって来て、地上の統治権を譲るように迫るんだけど、恐れをなした大国主神(おおくにぬし)は、国譲りの件は、息子の事代主神(ことしろぬし)が答えると言って逃げてしまったんだ。
事代主神(ことしろぬし)は、出雲の国を譲る事を承諾するんだけど、弟の建御名方神(たけみなかた)だけは、国譲りに頑なに抵抗し、武甕槌神(たけみかづち)と力比べをするのだけど負けてしまい、建御名方神(たけみなかた)は諏訪まで逃げて、二度と諏訪の地から出ない事を誓うと、その命を許されたと言うよ。
これが、出雲の国譲りの顛末なんだけど、考えようによっては、出雲の国は、国津神である大国主神(おおくにぬし)と天穂日命(あめのほひ)と言う天津神が治めていた国だったのかも知れないね。
まあ、別の見方をすれば、素戔嗚尊(すさのお)の神格を二つに割ったものが、大国主神(おおくにぬし)であり、天穂日命(あめのほひ)になるんだろうけどさ。
素戔嗚尊(すさのお)も、高天原(たかまがはら)を追放され、堕天してしまったから国津神として祀られているけれど、元々は、天照大神(あまてらす)や月読命(つくよみ)と並ぶ三貴神と呼ばれた高貴な神様だったんだし、と夫は語った。
拝殿で参拝を済ませて、しばらく境内を散策した。
ちょっと、変な夫を紹介して頂きましてありがとうございますと、大国主神(おおくにぬし)にお礼を言い、出来れば子供は二人が良いですとちゃっかり新しいお願いもして来た。
出雲大社は言わずと知れた縁結びの神社だ。
その理由は、10月の神無月になると、全国の神々がこの出雲大社に集まって、縁結びの会議を行うからだそう。
なので出雲国では、10月の神無月を神在月(かみありづき)と呼ぶ。
夫が唐突に、叔父さんの仕事で、よく縁結びの依頼を受ける事があるけれど、縁結びと言うのは、縁切りと同義なんだよね、と言った。
良縁に恵まれないのは、悪縁に阻まれている事がとても多いのだそうだ。
私が、悪縁ってどう言うものなの、と聞くと、悪縁は、自分の成長を妨げてしまう縁の事だよ。
成長を妨げてしまうものは、どんなに良縁に見えても、悪縁なんだ。
だから、良縁を結びたいなら、悪縁を切りなさいって話しなんだけどね、と夫は語るも、私は、ふうんと答えたが、既に違う事を考えていた。
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