第12話 入れ歯がぁー。

年末は長屋では、みんなでもち米を買って

女将さんらは、餅つきの支度をやる。

男衆は餅つきの力仕事を担当する。


さあ、いくよー。あちちー。

蒸しあげたもち米を臼に入れる。

待ってましたと、男衆が杵をかまえる。


ぺたん、ほいさ、ぺたーん、ほいさ!


ひと臼つけると

餅粉トリコで真っ白な台にどしん‼️

女将さん達は、突き立てもちをちぎってどんどん放り投げる、すると他の女将さん達が

丸餅をどんどん丸めていく。


子供達はおこぼれが貰えないかと、周りを取り囲んでいる。

ロクちゃんのお母さんが、あんまり子供達が真剣なので一口づつ小さくして

口の中に入れてくれた。


うわー、とろとろだわよー。

うんうん、んまいなぁ。

ホカホカやなぁー。


じいちゃんまでやって来た。

わしにも味見させてくれい。

食べたのはいいけど、入れ歯にくっついた。

ふがふが、こりぁ、いかん。 


あははは。喉につまらせないでおくれよ、

じいさん!

おばあさんも大笑い。


さあさあ、あんた達、遊んできな!

あとで、あんこ餅を食べさせてやるからさ。


毎年の恒例。


大人も子供も楽しみな大晦日だった。

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鼻くそほじってピン! @nanohananoositsi

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